キャリア形成においてメンターの存在は成功への近道であるが、長期的な関係を築けるメンターを見つけるのは難しく、そもそもどう始めればよいかわからないという人も多い。そこで有効なのが「マイクロメンタリング」――一度限り、短時間のアドバイスから得られる気づきを活用するアプローチである。筆者らは次の4つの方法を提案している。
マイクロメンタリングは、継続的な関係にこだわらずに多様な視点を取り入れられる、柔軟で現代的な学びの手法である。
これら4つの実践を通じて、自分の可能性を広げ、より良いキャリア選択につなげることができるであろう。
1. 「隠れたメンター」を見つける
身近にいる教授や元同僚、知人など、軽いつながりを持つ人たちからの一言が、思いがけない示唆をもたらすことがある。
たとえば、「都会に出るべき」と思い込んでいた若者が、教授から「地元に戻る」というアドバイスを受け、それが全国組織でのリーダー職につながった事例も。
2. アドバイスをクラウドソースする
知人だけでなく、SNSや同窓会ネットワークを活用して、見知らぬ人にも積極的に質問してみる。
具体的な質問やコーヒーミーティングの打診も押しつけがましくない。多くの人は、自分の経験が誰かの役に立つことを歓迎してくれるはずである。
3. 内省を忘れずに
短期的な助言は有益だが、必ずしも自分の状況に合っているとは限らない。
他人の言葉に頼るだけでなく、自分自身の価値観や直感と向き合うことが大切である。何が自分にとって正しい選択かを見極める力は、キャリアの初期にこそ養うべきスキルである。
4. デジタル技術を活用する
直接会わなくても、SNSや動画、AIツールから学ぶことが可能である。
尊敬する人の発信内容を観察したり、ChatGPTなどを使って「この人ならどう考えるか」をシミュレーションしたりすることも、思考の幅を広げるヒントになる。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“You Don’t Need a Mentor to Get the Career Advice You Need,” HBR.org, March 17, 2025.