HBR Article:組織文化・組織開発「脅威の前兆を見つけても従業員が黙っている理由」

組織に対する脅威には、明確な脅威と曖昧な脅威の2種類がある。曖昧な脅威は一見取るに足らないように見えるが、重大な損失につながるリスクがある。従業員の沈黙やリーダーへの過度な依存を防ぎ、警戒と対話を促す文化と仕組みが組織の強靭性を高める鍵となる。

  • 明確な脅威:差し迫っていて、原因も対処法も明白(例:ガス漏れ警報)。
  • 曖昧な脅威:兆候が微妙・不確実で、原因や対応が不明瞭(例:かすかな異臭や不調の報告)。

曖昧な脅威は、軽視されたり放置されたりしやすく、見逃すと後に深刻な危機へと発展する可能性がある。

曖昧な脅威が難しい3つの理由

  1. 複雑で原因が不明確:一時的な異常か重大な問題か判断がつきにくい。
  2. 予測困難で不確実:影響の大きさや緊急度を見極めるのが難しい。
  3. 前例がない:過去の対応例が使えず、対処の方針を立てにくい。

明確な脅威 vs 曖昧な脅威の対応の違い

  • 明確な脅威には迅速で協力的な対応が可能。
  • 曖昧な脅威では、チーム内でも「問題があるか否か」の認識にズレがあり、対応が遅れやすい。

曖昧な脅威に対する「沈黙の文化」

調査と実験により、以下の傾向が確認された:

  • 曖昧な兆候が増すと、従業員は発言を控える傾向が強まる。
  • 多くの従業員は、問題の判断を上司に委ねる傾向があり、自ら分析や提言を行おうとしない。
  • これは、認知的負荷(判断の難しさ)や、伝統的な上下関係の職場文化に起因する。

結果として、従業員が最も関与すべき局面で、組織は逆に脆弱になる。

組織がとるべき対策(3レベルのアプローチ)

  1. 組織レベル:警戒文化の構築
    • 「失敗にこだわる」文化を育て、些細な兆候も分析する習慣をつくる。
    • トヨタの「アンドン」システムのように、従業員が自由に警告を出せる仕組みを取り入れる。
  2. リーダーレベル:観察と調査スキルの訓練
    • 従業員にシミュレーションやストレステストを通じて、曖昧な脅威を見抜く訓練を行う。
  3. 従業員レベル:日常的な警戒と発言の促進
    • 状況が完全に明確になる前でも、早期に気づきを共有することが奨励されるべき。

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