この論文は、2024年から2025年にかけての生成AIのユースケースの変化について、筆者らが実施した調査に基づき詳細に分析したものである。AI活用は、技術的な領域から精神的・感情的な支援へと大きくシフトしており、ユーザーはAIを単なるツールではなく、パーソナルな支援者として使うようになってきている。
生成AIの使われ方はこの1年で大きく変わり、人々はAIをより個人的な存在として受け入れ始めている一方で、依存のリスクやプライバシーの懸念も表面化しつつあり、今後の社会的ルールやリテラシーの整備が求められる。
主な変化と傾向
1. ユースケースの中心が精神的支援へ移行
- トップユースケースは「セラピー/話し相手」。
- 「生活を整える」「目的を見つける」など、自己実現や感情的なサポートに関する利用が急増。
- これは、生成AIが「ツール」から「パートナー」へと役割を変えてきたことを意味する。
2. 技術的用途から個人的・職業的サポートへ
- 技術支援やトラブルシューティングの割合は減少。
- 「個人的および職業的サポート」が全体の最多テーマに。
- AIが日常の伴走者として使われる傾向が強まっている。
2025年の上位ユースケース(抜粋)
ランク | ユースケース | ユーザーの声(要約) |
---|---|---|
1位 | セラピー/話し相手 | 心理支援が乏しい地域で、LLMが心の支えになっている |
2位 | 生活を整える | 来客前の家事の計画作成に役立った |
4位 | 学習の強化 | 独学中の補足教材として活用 |
10位 | 健康的な生活 | 食事管理を簡単にするレシピ生成に使用 |
24位 | 旅行計画の作成 | 理想的な旅程を提案してくれた |
83位 | 罰金の不服申し立て | AIの書いた手紙で違反通知が無効になった |
AIセラピーの3つの利点
- いつでもアクセス可能(24時間年中無休)
- 低コスト(無料も含む)
- 非評価的で安心して話せる
特にメンタルヘルス資源が不足している地域では、大きな支援となっている。中国などでも同様の活用が見られるとのこと。
調査方法
- RedditやQuoraなどのオンラインフォーラムを中心に100件以上の具体例を収集。
- 専門家の評価を基にユースケースをランク付け。
- 前年の調査と同一手法で比較分析を実施。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“How People Are Really Using Gen AI in 2025,” HBR.org, April 09, 2025.