著者は、米国勤務中に職場のランチ文化(ほとんどの人が一人で食事)に違和感を覚え、母国インドでの「皆で昼食をとる」文化との違いに注目、そこから「一緒に食べること(コメンサリティ)」の職場における効果を探ることにした。
職場での「一緒に食べる」ことは、人間関係やチームの結束力を高める強力なツールである。ただし、文化的背景や個々人の事情に配慮した柔軟な実践が必要。食事は単なる栄養補給ではなく、信頼・協働・共感の土壌となり得る。
ランチプロジェクトの概要
- HBRの読者を対象にした4週間の実験
- 普段一人でランチをとる人が、週1回以上、同僚と一緒に食事
- 各週末に心理的影響などを回答
- 世界中の8人が参加(性別・年齢・勤務地は多様)
主な発見
一緒に食べることの効果(ポジティブ面):
- 人間関係の改善:最初はぎこちなくても、次第に打ち解けて信頼関係が深まる
- 会話の促進:食事中にアイデア出しや問題解決が生まれる場面も
- 心理的活性化:「元気が出た」「リフレッシュできた」との回答が多数
- チームの絆の強化:まるで家族のような感覚が育つという研究結果も裏付け
課題や限界(ネガティブ面):
- 誰と食べるかで経験が大きく変わる:緊張・疲労を感じることも
- 文化・職場による制約:米国では「ランチ=時間の無駄」とされる傾向も
- 参加しにくい人々の存在:文化・階層・障害などにより疎外感を持つ人も
- 時間の捻出が困難:「会議が多すぎる」「カレンダーに入れないと無理」という声も
考察と提案
儀式としての食事:
- 「儀式」は必ずしも大がかりである必要はない
- コーヒーブレイクや短い雑談でも効果がある
- リーダーは「物理的スペースの提供」や「費用補助」で交流を後押しできる
実践のコツ:
- 「昼食」以外の時間帯でもOK(朝の10分など)
- 継続性は「予定化(カレンダーに入れる)」によって実現可能
- 最初は小さな行動から始める(例:チャイやコーヒーでの会話)
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