HBR Article:サステナビリティ「なぜサステナビリティリポートは顧客や従業員に響かないのか」

 企業のサステナビリティ施策は、政治的圧力や訴訟リスクといった外部からの批判にさらされる現状があるため、一部の企業はその取り組みについて発信せず沈黙を保とうとする。しかし、単に沈黙するだけでは顧客や従業員の期待に応えられず、信頼やブランド価値の向上にはつながらないと論じる。

企業は単に政治的リスクを回避するために沈黙するのではなく、顧客や従業員の期待に応え、信頼性のあるブランド価値を築くために以下の3つの戦略を実践すべきである。

・期待に沿った具体的な対策を示す
・データとストーリーテリングを組み合わせ、感情的な共感を呼ぶメッセージを発信する
・従来の形式にとらわれない新しいフォーマットで、持続可能な取り組みを継続的に伝える

これにより、企業は内部のエンゲージメントを高めるとともに投資家や市場からの信頼を獲得し、結果として競争力を向上させることが期待される。


主な論点

  1. 従業員と顧客の期待に応える
    ・消費者は持続可能な製品やサービスへの関心が高まっており、その購買行動でも示されている。
    ・求職者も、環境に前向きな企業に惹かれる傾向が強い。
    ・具体的な顧客や従業員のニーズ、懸念を把握することで、企業はより実効性のある対応策を打ち出すことができる。
  2. メッセージを裏付ける事実とストーリーの提供
    ・グリーンウォッシングへの懸念や訴訟リスクがある中、単なるデータだけでなく、具体的なエピソードや背景にある「なぜ」を伝えることが重要。
    ・具体的かつ検証可能な事実とオーディエンスの共感を呼ぶストーリーテリングにより、企業の取り組みが信頼性を持って伝わる。
    ・例として、パタゴニアやドクターブロナー、リフォメーションなど、既存の先進ブランドが実践している表現方法が紹介されている。
  3. 従来のサステナビリティリポートを超えたコミュニケーションの実施
    ・年次のESGリポートだけでは不十分であり、より多様なメディア(動画、アニメーション、インタラクティブなウェブフォーマットなど)を活用することで、複雑な情報をわかりやすく伝え、オーディエンスとの継続的な対話を可能にする。
    ・ティラムック郡乳製品製造所組合などの事例では、定型的な報告形式から脱却し、遊び心や人間味を持たせたリポートが実現されている。

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