HBR Article:キャリア「仕事を失うことへの不安を生む5つの心理パターンとその対処法」

 この論文は、雇用の安定に対する過度な不安がどのように生じどのように対処できるかを不安専門の臨床心理士の視点から整理したものである。筆者は、実際の解雇リスクが低くても不安に囚われる人が多い背景として次の5つの典型的パターンを挙げ、それぞれに対処法を提示している。

解雇不安は珍しいことではなく、多くの場合実際の経済的リスク以上に心理的要因が影響している。不安は「実存的な恐れ」を投影しやすく、目に見える形(解雇・レイオフ)に集中する傾向がある。自分の不安パターンを認識し現実的かつ主体的に対処することで仕事との健全な関係を築ける。

1. 感情を事実と誤認する

  • 特徴:「不安を感じる=仕事が不安定」という思い込み(感情的推論)。
  • 問題:過剰補償(過度な準備・働きすぎ)が本来の有能さを覆い隠す。
  • 対処法:過剰対応を減らし「適切な準備・働き方」に戻す。成功の根拠を自覚する。

2. 結果を破滅的に誇張する

  • 特徴:失業を「人生の破滅」と結びつけ、最悪のシナリオを想像し続ける。
  • 問題:不安が現実以上に危険を過大評価させる。
  • 対処法:最悪の事態に至る具体的なステップを書き出し、確率を計算して現実的に捉える。

3. 不確実な世界で確実性を求める

  • 特徴:完全な安全や明確な保証を求め、少しの曖昧さにも不安を感じる。
  • 問題:確認行動や過剰な安全策がエネルギーを消耗させる。
  • 対処法
    • 具体的な質問で上司から改善点や優先事項を引き出す(変化)。
    • 不確実性を少しずつ受け入れる練習をする(受容)。

4. パフォーマンスと自己価値を混同する

  • 特徴:成果が完璧でないと、自分の価値そのものが下がったように感じる(過剰評価)。
  • 問題:完璧主義が自己批判や燃え尽きを招く。
  • 対処法
    • 成果と自己価値を切り離す意識を持つ。
    • 仕事とは無関係な自己肯定要素を確認する。
    • コミュニティや仲間とつながることで心理的保護を得る。

5. 人に気に入られることを職の安全と取り違える

  • 特徴:他人の好意や承認を職の安定の指標にしてしまう。
  • 問題:評価基準を他人に委ねることで常に不安定になる。
  • 対処法:自分の意図や目標達成度を基準に仕事を評価する。

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