当研究は「有名人とのコネ」がキャリアや人事評価にどのような影響を与えるかを検証したものである。有名人とのつながりはキャリアの扉を開く強力な武器だが、長期的には評価を歪める「諸刃の剣」となり得る。真に評価されるためには、コネよりも実績を明確に積み上げることが不可欠である。
- 人脈は就職だけでなく評価にも影響する
- 一流の人脈は新しい仕事の獲得に有利に働くだけでなく、その後の長期的なパフォーマンス評価にも影響を及ぼす。
- NBAコーチの分析
- 過去40年間のNBAヘッドコーチ179人のキャリアを調査。
- 有名人(例:フィル・ジャクソン)の弟子であるコーチは、チーム成績が悪くても解雇されにくい一方、好成績でも解雇リスクが高まるという逆説的な傾向があった。
- この影響は最大9年間続いた。
- 実験調査(デザイン業界のシナリオ)
- 約500人のプロフェッショナルが新人デザイナーを評価。
- 有名人とつながりがある場合、期待以下の成績でも許容されやすいが、優れた成果を上げても過小評価される傾向が見られた。
- 心理的メカニズム:バランス理論
- 人は「スターとつながっている人=有能」と整合性を保とうとするため、低成績を合理化し、高成績を軽視する傾向が生まれる。
- 実例として、ジャック・ウェルチの弟子ボブ・ナーデリがホーム・デポCEO時代に成果を出しても評価されず、むしろ解任された事例が紹介されている。
- 注意点
- 調査はNBAの男性中心の環境や架空シナリオに基づいており、一般化には限界がある。
- 実務への示唆
- 評価する側は、人脈による期待やバイアスを自覚し、客観的な尺度や360度評価を取り入れるべき。
- 新リーダー側は、人脈に頼らず、成果や貢献を具体的に示し、自らの実績を強調することが重要。
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“Being Well Connected Isn’t Always Good for Your Career,” HBR.org, July 04, 2025.