この論文は、リーダーが直面する感情的疲弊とその克服のために必要な実践についてまとめている。
リカバリーは贅沢ではなくリーダーに不可欠なスキルである。振り返り・リフレーミング・回復を実践することで、短期的なリセットにとどまらず将来の困難にも安定と強さを持って立ち向かえる。チームがリーダーを必要とするのは「今」だけでなく「これからも」であるため持続的な自己ケアが不可欠である。
背景
- リーダーは日常的に解雇、厳しいフィードバック、業績プレッシャーなどの感情労働を強いられる。
- 頑張り続けることが効率的に思えても、感情を処理しないままでは健康や人間関係、リーダーシップ効果に大きな代償をもたらす。
- 世界的な調査でも、近年のエンゲージメント低下の中心は現場社員ではなくマネジャー層であることが示されている。
提案される3つのプラクティス
- 振り返り(Reflection)
- 自分の感情を押し殺さずに認め、言語化・記録する。
- 感情は価値観やニーズを映すインサイトとなり、心身の健康やパフォーマンスを改善する。
- 信頼できる相手に共有することも効果的で、レジリエンスを高める。
- リフレーミング(Reframing)
- 困難な出来事を別の角度から捉え直し、学びや成長の機会と位置づける。
- 特に、リーダーが「必要悪」を担う場面ではセルフコンパッション(自己への思いやり)が重要。
- 自分を責めるのではなく、友人に接するように優しく扱うことで、冷静さと効果的なリーダーシップを維持できる。
- 回復(Recovery)
- 感情的な消耗からの充電は必須。休むだけでなく、効果的な体験を取り入れることが重要。
- 有効な4要素は「分離(仕事から距離を置く)」「リラックス」「習得(新しい挑戦)」「コントロール(自分で選ぶ時間)」。
- 趣味やレクリエーションは自己中心的ではなく、翌日の自分とチームのパフォーマンスを高める。
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“Leading Is Emotionally Draining. Here’s How to Recover,” HBR.org, July 11, 2025.