HBR Article:チームマネジメント「仕事を部下に任せられないリーダーが見直すべきタイムマネジメント」

 リーダーにとって避けて通れない課題「委譲(Delegation)」を、「タイムログ(時間記録)」というシンプルだが強力なツールを使って実践的に進める方法を解説した論考。タイムログは単なる時間管理ツールではない。それは、リーダーが「自らの時間をどう使うか」を再定義し、組織の生産性と成長を最大化するための戦略的武器である。

問題提起

多くのリーダーは「委譲の必要性」は理解しているが、「どの業務を委譲すべきか」判断できない。
結果として、リスクの低い小さなタスクしか手放さず、貴重な時間を奪う非戦略的業務に追われている。

解決策:タイムログ(Time Log)の活用

タイムログとは、日々の業務を15分単位などで定量的に可視化する手法。
これにより、主観や記憶に頼らず、時間の使い方を客観的に分析できる。

実践の4ステップ

  1. 記録(Record)
     スプレッドシートなどで1日を15分単位に区切り、あらゆる業務・対応を記録。
     目的は「評価」ではなく「現状把握」。少なくとも2週間分を継続する。
  2. 分析(Analyze)
     記録データを次の4分類に仕分けする:
    •  委譲すべきタスク:他人に任せても問題ない。
    •  委譲可能なタスク:任せるには教育・引き継ぎが必要。
    •  委譲すべきでないタスク:リーダー自身が担うべき中核業務。
    •  自動化・削除すべきタスク:やめる・自動化する価値のない業務。

 目的は、価値を生まない業務を手放し、戦略的業務へ再配分すること。

  1. 委譲(Delegate)
     委譲先は、部下の強み・関心・成長目標と一致する人を選ぶ。
     メモや資料を準備し、期待と目的を明確に伝える。
     初期段階では共同で進め、徐々に任せる。
     ※ミスを恐れて手を出さないことが重要(例:部下に任せた日に休暇を取るCFOティナのエピソード)。
  2. 振り返り(Reflect)
     2か月後に再びタイムログを取り、
     - 委譲によって生まれた時間
     - 新たに投下できた戦略業務
     - ROI(投資対効果:時間単価 × 委譲時間)
     を分析する。

事例:CFOマイクのケース

昇進後も前職のタスクを抱えていたマイクは、タイムログを2週間記録した結果、

  •  報告書作成
  •  照合作業
  •  不要な会議
    など月20時間分を委譲可能と判明。
    以降、チームにもタイムログを導入し、生産性を飛躍的に改善した。

得られる効果

  • タスクの本質と価値を客観的に見極められる
  • 戦略的・創造的な業務に時間を再配分できる
  • 部下の成長と自律性を促す
  • 結果として、リーダー自身の影響力と組織全体の成果を高める

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