組織における「コミュニケーション・リークポイント(漏洩点)」とは、情報伝達の過程で本来の意味が失われる重要な移行ポイントを指す。これは、(1)思考を言語化する時、(2)文書をプレゼン化する時、(3)受け手が解釈する時に発生しやすい。これを放置すると誤解が積み重なり、戦略実行力を損なうが、構造的に対処すれば組織パフォーマンスの向上につながる。
単に「明確に伝える」だけでは不十分。リークポイントは構造的問題であり、各段階で体系的介入が必要である。リーダーがこの3段階における規律を徹底すれば、ビジョンの意図が失われずに現場まで伝わり、組織全体が一貫した行動をとれるようになる。結果として、コミュニケーションの改善だけでなく、戦略実行力・業績そのものが向上する。リークポイントを「リスク」ではなく「競争優位の源泉」として扱うことが、次世代リーダーに求められる姿勢である。
主な課題:戦略の「伝言ゲーム」化
経営層が打ち出す戦略的イニシアティブは、現場に届く段階でしばしば意図が歪められてしまう。
多くのリーダーは「自分の考えは理解されている」と誤信しているが、実際にはビジョンの断片しか伝わっていない。こうした情報劣化こそが、筆者のいうリークポイントである。
3つの主要なリークポイントと解決策
1. アイデアを文書化する段階
- 課題:多面的な思考が、文書化で直線的かつ単純化され、意味の厚みが失われる。
- 解決策:「没入型の意思決定空間」を構築し、財務・顧客・リスクなど複数要素を同時に可視化する。
→ ステークホルダーが物理的/仮想的に要素を行き来することで、相互依存関係や見落としを発見できる。
2. 文書をプレゼンテーションする段階
- 課題:発表時に社内政治や緊張などが影響し、メッセージが「希薄化」する。
- 解決策:
① 絶対に失われてはならない3つの要素を明確化。
② 他部署の人にメッセージを伝え、複数段階で伝達実験を行う。
→ どの部分が残り、何が抜け落ちるかを分析し、失われなかった要素を中心に再構築する。 例:ある医療機関では「患者中心の再編」が伝達過程で「コスト削減」と誤解されることを発見。発表前にメッセージを再設計し、意図を正確に伝えることに成功。
3. プレゼンテーションを解釈する段階
- 課題:受け手は自らの経験や立場のフィルターを通してメッセージを解釈するため、意図が歪む。
- 解決策:「解釈チェック」を実施し、以下を確認する:
- 主要メッセージとして何を理解したか自分に求められている行動は何だと思ったかまだ不明な点は何か
→ 結果を職能別にマッピングし、誤解のパターンを分析・修正する。
- 主要メッセージとして何を理解したか自分に求められている行動は何だと思ったかまだ不明な点は何か
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。