この論文は、「辞めたいけれど辞められない状況」にあるビジネスパーソンが、その苦しい時期を単なる我慢ではなくキャリアを前進させる機会に変えるための4つのステップを提示している。
辞める自由がない時期も、ただの我慢にせず「主体的な選択・発見・責任・成長」の4ステップを実践すれば、ストレスを軽減しながらキャリアの前進につなげられる。
つまり、「辞められない時期」は停滞ではなく、次の飛躍を準備するための“成長の機会”となりうる。
背景
経済的・地理的・市場的な制約などにより、望まない仕事に留まらざるを得ない人は多い。しかし、そうした状況下でも「何もできない」と諦めるのではなく、自分の主体性を取り戻し、現職を有効活用する姿勢が重要であると筆者らは主張する。
4つのステップ
① みずからの選択として残る
辞められない状況を「仕方なく残る」と捉えると、学習性無力感に陥り、バーンアウトを招く。
「自分の意思で残っている」と意識を転換することで、コントロール感を取り戻せる。
定期的に自分へ問いかけ、職務の利点・学び・限界を評価することで、残ることを“能動的な選択”に変える。
② 潜在的なチャンスを見つけ出す
主体的に残ると決めたことで視野が広がり、停滞に見える状況の中にも新しいチャンスを発見できる。
他部署との連携、顧客への価値創出、人材育成など、現職の中で新たな意味づけを行い、成長機会を再発見する。
③ 自分の責任を引き受ける
外的要因を責めるのではなく、現状に自分がどう関わっているかを見つめる。
自分が影響を与えられる範囲を明確にし、改善のために取れる具体的な行動を選ぶ。
日々「どんなリーダーでありたいか」を意識的に設定することで、外的状況に左右されない内面的充実を得る。
④ 成長のためにこの時期を活かす
現在の職務を「停滞」ではなく、次のキャリアへつなぐ「助走期間」と捉える。
将来に必要なスキルや人脈を育む機会として戦略的に活用する。
AIやプレゼンなど新しい能力を現職内外で磨いたり、社外活動・資格取得・メンタリングなどを通じて市場価値を高める。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“You Want to Quit Your Job – But Feel Stuck,” HBR.org, August 20, 2025.