HBR Article:リーダーシップ「デジタルディスラプションを生き抜く有能なリーダーが持つ二面性」

 デジタル技術が急速に進化する一方、多くのチームは旧来の慣行に縛られ、変化への対応に苦労している。本稿はこうした環境下で成果を上げるリーダーがどのような行動を取っているのかを解明した研究を紹介している。

最も成果を出したリーダーは、広い視野と好奇心(探鉱)、深い集中と継続力(採掘)という両立ができる人物だった。製薬会社の事例のように、この二面性を意識して組織が動くことで、硬直したプロセスから柔軟で適応的なシステムへと変わり、デジタル時代のチャンスをつかむことが可能になる。

1. デジタル時代のリーダーシップには「7つの緊張」が存在

過去の研究でも示されたとおり、リーダーは伝統的スタイルと新しいスタイルの間で「7つの緊張」を扱う必要がある。ただし今回は、その中でも特に成果を強く予測する一つの緊張が明らかになった。

2. 最強のリーダーは「探鉱者」と「採掘者」の両方を兼ね備える

探鉱者(Explorer)

  • 内外の環境から新しい機会や脅威を敏感にキャッチ
  • 職務範囲外にも視野を広げる
  • 最新のトレンドにアンテナを張る
  • 社外ネットワークや他業界に積極的に触れる

→ 好奇心と外向きの視点が武器

採掘者(Exploiter)

  • 有望なアイデアを深掘りし、価値が出るまで育てる
  • リソース投資の意思決定を行う
  • 継続的な集中力と自己規律が必要
  • 発見したアイデアを組織の成果につなげる

→ 継続・集中・深堀りが武器

3. 成果を出すリーダーは「広げる → 深める → 見直す」の循環を実践

成功したリーダーたちは、以下のプロセスを繰り返していた。

  1. 幅広く探索(探鉱)
    何が起きているのか、新しい技術や変化を察知する。
  2. 深く投資(採掘)
    有望な方向性に集中し、価値が出るまで育てる。
  3. ひと息ついて見直す
    環境が変化していないか、再び探索フェーズが必要かを確認する。

4. 探鉱 × 採掘バランスを欠くと何が起きるか

  • 探鉱不足:時代遅れとなり、重大なチャンスを逃す
  • 採掘不足:新しいものに飛びつくだけで成果が形にならない

生成AI時代の変化速度はさらに速いため、このバランスの重要度は以前より上がっている。

5. 組織が取るべきアプローチ

  • リーダーが両方のスキルを身につけるための訓練を行う
    例:専門領域外の記事を毎日読む、他業界の人と定期的に会う
  • チームとして探鉱者と採掘者を意図的に配置する
    発見する人 × 深掘りする人をセットで機能させる

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