職場が緊張と不信に覆われ、退職が相次ぐ有害な環境では、リーダーは通常以上の努力を必要とする。鍵は、混乱から目をそらさず、チームを守る“避雷針”となり、独自の健全な文化を意図的に築くことである。専門家は、リーダーには想像以上に大きな影響力があると強調する。本論では、混乱期でも人材流出を防ぎ、チームの健全性を維持するための具体的な7つの方法を挙げている。
混乱する組織の中でも、リーダーは自分のチームに対して驚くほど大きな影響力を持つ。
重要なのは、現実を隠さないこと、悪影響をフィルターし文化を意図的に作り意義とつながりを強調しコミュニティと信頼を育てることである。これにより、有害な環境下でもチームの健全性を守り、重要な人材の流出を防ぐことができる。
1. チーム独自の基準(文化)を意図的に設定する
- 機能不全の文化を受け入れる必要はない。
- チームが理想とする文化像を描き、行動ルール・対話方法・対立解消プロセスを共に定める。
- 「どんな評判のチームでありたいか」「他部署との差別化ポイント」を議論し、意図的な文化をつくる。
2. よい習慣を日常的に強化する
- 一度合意した価値観や行動は、日々の強化と成功事例紹介が必要。
- コラボレーションを促したいなら、成功した共同作業のストーリーを共有する。
- 「何をしてほしいか」が明確だと人は変化に挑戦しやすい。
3. リーダー自身が問題の一部にならない
- 言っていることと行動がずれると信頼を失う。
- 変化を求めるのであれば、リーダー自身が模範を示す必要がある。
- 重要な議論では「私に案があるが、まず意見を聞きたい」といった姿勢を徹底し、部下の声を尊重する。
4. チームの“避雷針”になる
- 組織全体の有害さをチームに直撃させないよう、情報をフィルターし意味づけする。
- 大きな課題(人員削減など)は透明性をもって伝える一方、不要なネガティブ情報は洪水のように流さない。
- 批判や緊張を“吸収”し、チームの集中力とエネルギーを守る。
5. チームのインパクトを可視化し、意義づける
- 混乱した環境では、仕事の意味との接続が見えにくくなるため、リーダーが明確にする必要がある。
- チームの成果が組織目標にどう寄与しているかを整理し、証拠を示す。
- 組織が評価しないなら、独自の指標(例:患者数など)を設定して価値を見える化する。
6. ネガティブを相殺するコミュニティを築く
- 毒気のある職場では、心の支えとなるチーム内の人間関係が重要。
- チームビルディング、地域奉仕活動など、ポジティブな経験を共有する場を意図的に作る。
- レジリエンスが高まり、チーム文化が強化される。
7. “退職面接”ではなく“ステイインタビュー”で離職を防ぐ
- 有害な職場では、「なぜ自分はまだここにいるのか」と問う人が多い。
- 定期的に非公式の1on1を行い、
- 何がこの職場にとどまらせているのか
- 何が改善されればもっと働きやすいのかを率直に聞く。
- “再雇用するつもりで聞く”姿勢が心理的安全と信頼を高める。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“Protecting Your Team in a Toxic Organizational Culture,” HBR.org, September 05, 2025.