HBR Article:人材採用・育成「優れたマネジャーは、人員配置の最適化で真価を発揮する」

 本論文は、約100カ国・従業員20万人と管理職3万人を対象にした大規模調査をもとに、優れたマネジャーは部下を動機づけるよりも「適材適所」を実現する力によって、組織と人材双方に大きな価値を生み出していることを明らかにしている。

本論文は、「マネジャーの力量 = 部下の能力を最大化する配置力」という明確な結論を提示している。優れたマネジャーは部下の強みに気づき、その能力が開花する環境へ巧みに導く。その配置は、部下の昇給・生産性・キャリア構築に長期的な恩恵をもたらし、企業にも高いリターンを生み出す。

1. マネジャーの本質的価値は“見える手”としての人員配置力

  • 従来、マネジャーは「部下を励ます」「統制する」「士気を高める」能力が重視されがちだった。
  • しかし研究結果が示したのは、部下の適性を見極め、より成果の出る業務に配置し直すことこそが最大の価値であるという事実。
  • アダム・スミスの“見えざる手”が市場を調整するように、企業内部ではマネジャーの“見える手”が人材の最適活用を担う。

2. 優れたマネジャーは部下のキャリアに長期的な利益をもたらす

研究では、早期に昇進した管理職(ハイフライヤー)を「優れたマネジャー」と定義。その下で働いた部下には、次のような特徴的な変化が見られた。

(1) 横異動が40%増加

  • 部署をまたぐ異動や業務内容の大きな変更が起こりやすくなる。
  • これは単なる配置換えではなく、能力に合った役割に導き出していることを示す。

(2) 認知負荷の異なる職種への転換、高度スキルが必要な領域への移動

  • ハイフライヤーは、部下の潜在能力に応じて、より能力を発揮できる職務へ送り出している。

(3) 賃金・生産性の顕著な上昇

  • ハイフライヤーの下で働いた従業員は、7年後に平均13%高い賃金を得ていた。
  • 一人当たり売上やパフォーマンスにも大きな向上が見られる。
  • この効果はハイパフォーマーに限らず、業績下位者にも及ぶ。

(4) 効果は異動後も持続する

  • 優れたマネジャーのチームを離れても、キャリア面でのプラス効果は消えない。
  • 一方、能力の低い上司(ローフライヤー)は、ハイフライヤーの効果を打ち消せない。

3. 企業にとっても極めて高い投資対効果

  • ハイフライヤーに支払う報酬1ドルあたり、従業員の生産性向上によって企業は大きな利益を得る。
  • 最適配置による生産性向上は、人員増加よりも効率的。
  • キャリア早期の適切な配置は、会社にとっても従業員にとっても長期的な価値を生む。

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