HBR Article:ビジネススキル「なぜ一流の交渉者は、成果も信頼も獲得できるのか」

 本稿は「成果(価値の獲得)」と「関係性(信頼構築)」はトレードオフであるという、交渉における長年の通説に異議を唱える。筆者らが50カ国以上・数千件の交渉データを分析した結果、優れた交渉者はこの2つを同時に高水準で実現していることが明らかになった。

偉大なネゴシエーターとは、価値観を犠牲にせずに価値を創造し、成果と信頼を同時に最大化できるスキルを持つ存在である。

交渉者は4タイプに分かれる

交渉の成果は、「実質的パフォーマンス(価値の創造・獲得)」と「関係的パフォーマンス(信頼)」の2軸で評価され、交渉者は次の4タイプに分類される。

  1. 統合型アチーバー
     成果と信頼を両立する理想型。断固たる主張と共感をバランスよく使い、長期的な協働を可能にする。
  2. 競争的マキシマイザー
     短期的成果は高いが、関係性を犠牲にしやすく、長期的な価値を損なう。
  3. 協調的ハーモナイザー
     信頼関係は築けるが、譲歩が多く成果が伸びない。
  4. 破壊的ネゴシエーター
     成果も信頼も損ない、双方に悪影響を及ぼす。

これらのタイプはほぼ均等に存在し、違いを生むのは性格ではなく習得可能な能力(スキル)である。

成功を分けるのは「スタイル」ではなく「スキル」

「ハードかソフトか」という交渉スタイルの議論は本質ではない。重要なのは、断固たる姿勢と共感を状況に応じて使い分ける能力である。優れた交渉者は、相手が強硬であっても敵対せず、適応的に戦略を調整する。

卓越したネゴシエーターの4つのメタ能力

統合型アチーバーに共通する中核スキルは、次の4つに集約される。

  1. 言語と情動性
     明確な表現、傾聴、質問、感情調整により、緊張を建設的な対話に変える。
  2. 交渉インテリジェンス
     BATNA理解、議題設計、譲歩管理、価値創造と主張を状況に応じて使い分ける戦略的判断力。
  3. 関係性構築
     信頼を戦略的資産として捉え、透明性・約束履行・文化的配慮を通じて価値を拡張する。
  4. 道徳的知恵
     公正さと誠実さを基盤に、成果と倫理を両立させる判断軸。長期的結果を左右する。

組織への示唆

交渉力は経験任せでは伸びない。測定・訓練・体系化が可能なリーダーシップスキルであり、先進企業は専門組織や評価制度を通じて全社的に強化している。真の強さとは攻撃性ではなく、公正さと共感に裏打ちされた断固たる姿勢である。

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