HBR Article:チームマネジメント「リーダーが感情に賢く向き合うための5つのステップ」

 賢いリーダーとは、「感じる人」ではなく、「状況に応じて感じ方と示し方を選べる人」である。

問題提起

現代のリーダーには、部下の感情に配慮する共感力が強く求められている。実際、感情面のサポートは従業員のパフォーマンス向上や離職率低下、組織業績の改善と関連している。

しかし一方で、「常に共感すればよい」という単純な考えは誤りである。適切でない共感は、

  • リーダー自身の燃え尽き
  • 部下との認識ギャップ
  • 逆効果となるコミュニケーション

を招く可能性がある。

重要なのは、単に共感することではなく、「状況に応じて最適な共感の形を選ぶこと」である。これを筆者らは「賢い共感(Wise Empathy)」と呼ぶ。


共感には2種類ある

リーダーの共感には大きく2つの型がある。

① シェア型(感情を共有する)

相手の感情を自分も体験する。

② ケア型(思いやりを示す)

感情に巻き込まれすぎず、相手を支え、必要に応じて行動志向を取る。


研究からの重要な示唆

● ネガティブ感情には「ケア型」が有効

  • シェア型はリーダーの消耗を招きやすい
  • ケア型は燃え尽きを防ぎ、自己効力感を高める
  • 部下のエンゲージメントと上司への信頼も向上する

● ポジティブ感情には「シェア型」が有効

  • 喜び・誇り・成功を一緒に祝うことで関係性が強化される
  • チームの士気が高まる
  • ただし主役を奪わないことが重要

結論:共感の正解は一つではなく、状況によって使い分けることが鍵である。


賢い共感を実践する5つのステップ

1. 文脈を理解する

即反応せず、相手の感情の種類(ポジティブ/ネガティブ)と背景を読み取る。
言葉だけでなく、トーン・沈黙・エネルギー変化にも注意する。

2. 自分の反応をコントロールする

感情的に巻き込まれる前に一拍置く。
呼吸を整え、「これは相手の感情であり自分の感情ではない」と認識する。

3. ケアかシェアかを選択する

  • ネガティブ → ケア型を優先
  • ポジティブ → シェア型で共に喜ぶ

4. 相手の受け止め方を確認する

共感は「意図」ではなく「相手の認識」で決まる。
フィードバックを通じて認識ギャップを確認する。

5. 振り返りと調整を行う

会話後に内省する:

  • 適切な共感を選べたか
  • 相手は支えられたと感じたか
  • 自分は消耗していないか

この反復が、判断力と持続可能なリーダーシップを育てる。


本質的メッセージ

  • 共感は「量」ではなく「質と選択」が重要
  • 善意だけでは不十分で、判断力と自己制御が必要
  • 適切な共感は、信頼・エンゲージメント・定着率・業績を高める
  • そして同時に、リーダー自身のウェルビーイングも守る

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