HBR Article:リーダーシップ「本当に昇進する人は、上層部との人脈構築だけに注力しない」

 昇進を目指す際、上層部との関係構築は重要である。しかし、それだけに偏ると、日常的に一緒に働く同僚や部下からの信頼を損ない、結果としてキャリアの停滞を招く。真の影響力は、上層部、同僚・部下、社外関係者を含む広いネットワークの中で形成される。一貫した評判を築くことが、長期的なキャリア形成には不可欠である。

1. 上層部へのアピールだけでは不十分である

昇進や重要プロジェクトへの登用には、上層部の支持が大きく影響する。しかし、評判は上司との関係だけで決まるわけではない。

実際には、

  • 同僚
  • 部下
  • 他部門
  • 人事
  • 顧客
  • 社外関係者

など、幅広い関係者との日常的なやり取りによって形成される。

2. 身近な人々が評判をつくる

上層部から高く評価されていても、身近な同僚から、

  • 協力的でない
  • 手続きを飛ばす
  • 権力を利用する
  • 自分の成果ばかり重視する

と見られれば、その評価は徐々に組織内へ広がる。昇進の判断も、正式な会議だけではなく、日常の非公式な会話から大きな影響を受ける。

重要なのは、

「上司が自分をどう見ているか」

だけではなく、

「一緒に働く人が、自分のいないところで何と言っているか」

である。

3. ネットワークは3次元で考える

人間関係は、次の3つの次元で捉える必要がある。

垂直

上司、経営層、部下との関係である。上層部の支援を得るだけでなく、直属上司や部下との信頼も整合させる必要がある。

水平

同僚、他部門、人事、プロジェクトメンバーとの関係である。日常的に仕事を共にする人々こそ、自分の評判を最も強く形成する。

外部

顧客、取引先、株主、社外取締役などとの関係である。社外での振る舞いも、組織内の評価へ波及する。

4. 上層部の力は使い方を誤ると逆効果になる

問題が起きた時に、すぐ上位者へエスカレーションすれば解決は早い。

しかし、

  • 直属上司を飛び越える
  • 人事を迂回する
  • 権力者の支援で問題を押し切る

といった行動は、短期的には有効でも、周囲との信頼を傷つけることがある。上位者の支援を求める前に、直属の関係者の懸念や制約を理解することが必要である。

5. 水平ネットワークがキャリアの基盤になる

同僚やチームメンバーとの関係では、

  • 未解決の緊張はないか
  • 相手の課題を理解しているか
  • 協力的で信頼できる存在と見られているか
  • 自分の成功だけを優先していないか

を振り返る必要がある。成果を出すことと、周囲が「一緒に仕事をしたい」と思うことは別の能力である。上級職になるほど、後者の重要性は高まる。

6. 「自分は何で知られたいか」を明確にする

広いネットワークを築くだけでは十分ではない。

重要なのは、

  • どんな時に頼られる人なのか
  • どのような価値を提供するのか
  • 自分ならではの強みは何か
  • 周囲が自分についてどんな話をしているか

を意識することである。ネットワークとは人数ではなく、自分に対する信頼と評判が広がる仕組みである。

7. 問題は「人脈の不足」ではなく「評価の不整合」である

キャリアを阻害するのは、人脈が少ないこととは限らない。むしろ、

  • 経営層からは高評価
  • 同僚からは不信
  • 部下からは距離を置かれる
  • 社外からは別の評価

といった、ネットワークごとの認識のズレが問題になる。昇進に必要なのは、すべての人に好かれることではない。異なる関係者から見ても、

「成果を出し、信頼でき、協働できる人物」

という評価が一貫していることが重要である。

結論

昇進のために上層部との関係を築くことは必要である。しかし、それだけでは持続的な影響力にはならない。

重要なのは、

  • 上下の関係を整合させる
  • 同僚や部下との信頼を築く
  • 社外を含む広いネットワークを意識する
  • 権力ではなく信頼で影響力を高める
  • ネットワーク全体で一貫した評判を形成する

ことである。

キャリアを左右するのは、「誰を知っているか」だけではない。「誰に知られ、自分がいないところで何と言われているか」である。

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