多くのマネジャーが、手に負えないほどの膨大な業務量に悩まされている。一般的なアドバイスは「部下に仕事を任せろ」だが、すでに委譲済みである場合、それ以上の委譲はチーム全体の負荷を増やすだけで持続可能ではない。マネージャーやチームが業務量に押し潰されそうなとき、「働き方そのもの」を見直すことが必要。以下の3つの問いが鍵となる:
- 本当に完璧にやる必要がある業務か?
- 廃止・簡素化できる業務はないか?
- AIなどのツールで時短できないか?
「合格点」を見直し、「やめるべき仕事」を意識的に削ることで、チームに余裕と活力を取り戻すことが可能になる。
解決策:業務の再評価・再構成の3つの戦略
1. 「合格点」の水準を見直す
- 完璧主義を捨てる:すべての仕事でA+を目指すのは非効率。業務ごとに必要な品質の水準(=合格点)を見極める。
- 目的に応じた工数配分:重要性やリスクに応じて、労力や仕上がりレベルを調整。
- 簡素化の実践例:
- CEOが取締役会にブレインダンプ形式の未編集メールで報告。
- 箇条書きメールの推奨。
- AIの活用による業務時間の短縮(会議要約アプリ等)。
2. 隠れた「低付加価値業務」の発見と削減
- 無意識に続けている作業の見直しが重要。
- 2段階の見直しワークショップを提案:
- 廃止候補業務の洗い出し。
- 「週1日勤務を減らすとしたら?」という問いかけでブレイクスルーを得る。
- 事例:
- 看護師チームが100項目のチェックリストを廃止し、通常と異なる点のみ記録する方式に変更 → 週3~4時間削減。
- 小売企業で1カ月間報告業務をゼロにして精査 → 約40%削減。
3. 情報・プロセス過多の見直し
- プロセス重視文化の弊害:すべてに丁寧すぎる対応をし、却って負担増に。
- 改善ポイント:
- 簡略化された意思決定プロセスの導入。
- 文書作成やレビューは「合格点」レベルで止める。
- チームや上司との合意のもとで、頻度・精度・形式を再構築。
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“When You’re Overloaded – and Delegating Isn’t an Option,” HBR.org, April 04, 2025.