リーダーは部下から悩みを打ち明けられると即座に問題解決に取りかかる傾向があるが、それは必ずしも望まれる対応ではない。まず必要なのは、感情への共感と寄り添い(=調和)である。従業員は、戦略よりも「理解されている」「見守られている」と感じることで安心し信頼とエンゲージメントが高まる。
調和とは何か:
- 評価や指導ではなく、「ありのままを受け止める姿勢」。
- アイコンタクトや落ち着いた態度で「安全な空間」を作る。
- 相手の感情を変えようとせず、まず「認識し、受け入れる」。
調和が今必要とされる理由:
- 米国では約半数の労働者がストレスや不安を感じており、リーダーの感情的サポートが生産性や定着率に直結している。
- 共感的な対応は、従業員の孤立感や抵抗感を減らし帰属意識を高める。
調和を阻む5つの要因:
- 模範の欠如:寄り添われた経験がなく、習慣がない。
- 解決思考のクセ:答えを出すことが正解だと思いがち。
- 時間不足:調和を“贅沢”と捉える。
- リーダー自身のストレス:燃え尽き状態では他者に寄り添えない。
- デジタル環境:対面での非言語的シグナルが欠落する。
調和を実践する5つのステップ:
- 「寄り添う」と決める
判断・助言を手放し、「ここにいるよ」と伝える。 - 静けさをつくる
深呼吸や環境調整で自分を落ち着ける。 - 好奇心をもつ
相手の体験に「知りたい」「理解したい」という姿勢で臨む。 - 全身で傾聴する
表情や声色を含む非言語的な合図に注意を払う。 - 振り返りを促す
感情が落ち着いた後に、共に振り返り次の行動へつなげる。
波及効果:
調和を実践することで、従業員は安心感とつながりを得られ、チームのレジリエンス(回復力)が高まる。完璧な答えを出す必要はなく、存在と姿勢こそがリーダーシップの力となる。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“When the Best Leadership Skill Is Just Being Present,” HBR.org, May 19, 2025.