HBR Article:人材採用・育成「採用面接は、候補者の能力を正しく評価していない」

 この論文は「採用面接は体系的に見えて実は不完全で、特にAIスキル評価が欠落している。ガイド・監査・AI統合・面接官訓練によって改善可能」と結論づけている。

採用プロセスには体系的な欠陥があり、このままでは企業は将来に必要な人材を確保できない。しかし、適切な意図・仕組み・AI評価ツールを整備すれば改善可能である。企業は求める資質と評価プロセスのギャップを埋める必要があり、それが競争優位につながる。求職者にとっても、公平で要件に即した評価が実現し、能力を正当に示せる機会が広がる。

背景と問題

  • 採用面接を分析すると、職務記述書・企業が求める要件・実際の面接評価の間に大きなギャップが存在する。
  • 特に、AI時代に不可欠なスキルが候補者にあるかどうかは、ほとんど確認されていない。
  • このギャップは、適格な人材を逃し、不適格な人材を採用するリスクにつながる。

調査の概要

  • BrightHireとハーバード・ビジネス・スクールが共同調査。
  • 44社・1311ポジション・2万3000件の面接記録を分析。
  • 結果:
    •  面接は職務記述書の要件から脱線しやすい。
    •  表面的には要件の多くが話題にされるが、深い評価は少ない。
    •  技術スキルの評価時間は全面接の55%に留まる。
    •  同じスキルが繰り返し話題にされ、新しい領域の評価が不足。

主な発見

  1. 体系的評価の錯覚
    • 求められるスキルの多くが話題にはなるが、実際には十分に検証されていない。
    • 面接官が質問しないスキルは、ほとんど評価対象にならない。
  2. AIスキルの盲点
    • AIは50%の面接で話題になるものの、直接スキルを確認する質問はほとんどなし。
    • 2025年時点でもAIスキルに関する質問は全体の2.2%に過ぎない。
    • AI人材の採用機会を大きく逃している。
  3. プロセスの非効率
    • 平均3回の面接でも、スキル評価は不完全。
    • 面接官によって求職者の印象が大きく左右され、公平性を欠く。

提言

  • 体系的な面接ガイドを導入し、全ての重要スキルを網羅的に評価する。
  • 職務記述書との整合性を監査し、スキルが「話題になる」だけでなく「深く評価される」かを確認。
  • AIスキル評価を採用フローに統合し、経験・適応力・学習意欲を測る。
  • 面接の数を増やすのではなく、一回ごとの質を高める。
  • 面接官の訓練とツール導入に投資し、客観性と網羅性を確保する。

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