HBR Article:テクノロジー「AIによってコンサルティング企業はどう変わるのか」

 AIの急速な発展により、コンサルティング業界は根本的な構造変革を迫られている。特に、ジュニアコンサルタントが担ってきたリサーチ・分析・モデリングといった業務が生成AIによって自動化されていることが最大の転換点となっている。

AIがルーチン業務を代替することで、求められるのは小規模・高専門性・信頼主導のモデル(オベリスク型)へとシフトし、人間は「洞察・判断・関係性」という本質的価値に集中する時代が到来する。

従来のピラミッドモデルに固執すれば競争力を失い、変革を受け入れれば、新たな可能性が開ける。

ピラミッド型モデルの崩壊

従来のコンサルティングは、大規模なジュニア層が作業し、シニア層が戦略を導く「ピラミッド構造」で成り立ってきた。しかし、

  • AIがリサーチ・分析・資料作成を高速・低コストで実行
  • 大手各社が専用AIアシスタントを導入(McKinsey の Lilli / BCG の Deckster / Bain の Sage など)
    により、ピラミッドの基盤となる業務の多くが代替可能になっている。

結果として、ジュニア層を大量に抱える前提のビジネスモデルは持続困難となりつつある。

「オベリスク型」モデル:AI時代の新しい形

筆者らは、従来の広い底辺を持つピラミッドではなく、スリムかつ高度化された“オベリスク型(方尖柱型)”モデルを提唱している。

3つの核となる役割

  1. AIファシリテーター
    • キャリア初期のコンサルタント
    • AIツールを使いこなし、ワークフローを構築・最適化
  2. エンゲージメント設計者
    • 経験豊富なコンサルタント
    • 問題設定、AIアウトプットの解釈、戦略化を担当
  3. クライアントリーダー
    • 経営層との信頼構築・伴走・長期的関係管理

AIがベース業務を担い、人間は「判断・洞察・信頼関係」といった高付加価値領域に集中する構造。

AIネイティブのブティック企業の台頭

小規模で高機動力のコンサルティング企業(AIネイティブブティック)が急伸している。

  • Monevate:ジュニア層なし。専門性 × AIツールで高速提供
  • SIB:AIエージェントが契約や請求書を自動分析
  • Unity Advisory:元Big4パートナーが設立、ピラミッドを完全排除した先進モデル
  • Disruptive Edge(筆者ら):AIによる高速リサーチを基盤に、少人数のシニアチームで高品質成果を提供

いずれも、少人数 × 高専門性 × AIレバレッジで価値を生み出す点が共通している。

なぜ大手は変革できないのか

  • 収益の源泉が「ピラミッド構造」そのもの
  • 昇進・報酬体系や文化が人数レバレッジ前提
  • AIラボなどは作っても、コア業務の構造は温存
  • ジュニア人材の再配置・再育成が極めて難しい

「イノベーションのジレンマ」と同様、既存の成功モデルが自らを縛り、抜本改革に踏み切れない構造が表面化している。

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