経営陣が意思決定を先延ばしにすると、組織は停滞し、士気が下がり、優秀な人材の燃え尽きにつながる。特に変化の激しい業界や不確実な市場では、経営層が明確な戦略を示せないことが深刻な問題となる。このような状況では、現場のシニアリーダーが「翻訳者」として曖昧な指示を具体化し、組織を前に進める主体的なリーダーシップが求められる。
筆者らは、経営陣が機能不全に陥った際にシニアリーダーが組織を牽引するための 4つの重要戦略 を提示している。
経営陣の優柔不断は組織に大きな停滞をもたらすが、これはシニアリーダーにとって リーダーシップを発揮する重要な場 でもある。
待つのではなく、リスクの再定義、コストの可視化、チームの前進維持、影響力の強化 によって組織を動かすことができる。リーダーの役割は「決定する」だけでなく、 決定と決定の狭間でも前進を生み出すことにある。
1. 提案の位置づけを“低リスクな実験”に組み替える
- 経営層は「取り返しがつかない決定」と感じると承認をためらう。
- 提案を 小規模なパイロット や 30日間の実験 と再構成することで心理的ハードルを下げられる。
- 「タイプ1/タイプ2意思決定(Amazon)」のフレームワークを用い、撤回可能な判断は素早く行えるようにする。
2. 優柔不断の“コスト”を可視化する
- 判断の遅れは組織に大きな損失を与える(例:Fortune500で年間2.5億ドルの損失)。
- 「1カ月遅れると20万ドルの生産性損失」といった 具体的な数値で提示 すると、経営幹部の意識が変わる。
- 会話の焦点が「失敗への恐れ」から「遅れることの危険」へと移り、意思決定が進む。
3. チームの勢いと士気を維持する
- 経営陣の停滞に現場が巻き込まれないよう、シニアリーダーは 短期目標・小さな成果 にチームの注意を向ける。
- 進捗を見える化し、小さな成功を称賛する。
- ストレッチ課題を与えて成長機会を確保し、不満を創造性と学習へ変換する。
- 限られた予算・リソースでも成果を出せる活動に焦点を移す。
4. 上層部と横の関係者への「影響力」を構築する
- 同僚や他部門と連携し、メッセージを揃えて上層部に働きかける。
- 事前に関係者の合意を形成し、構造化された選択肢(トレードオフ・タイムライン・リソース)を提示する。
- 会議で自分だけが声を上げる状態を避け、味方=代弁者を増やす。
- 影響力とは支配ではなく、明確さ・信頼・一貫性で対話を形づくること。
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