現代の経営環境は、AI・地政学リスク・社会的圧力などが複雑に絡み合い、リーダーは明確な正解のない意思決定に直面している。こうした「プレーブックのない時代」において最も強力な指針となるのが、リーダー自身のコアバリュー(譲れない価値観)である。
コアバリューは、変革期の最強の武器である。指針が不明確な時代ほど価値観が意思決定の質を高める。信頼・一貫性・長期的成果を生むリーダーは価値観を軸に行動している。コアバリューは単語ではなく、具体的な行動原則として定義する必要がある。
1. コアバリューが必要とされる理由
- 経費削減、社会問題への対応、AIへの適応など、複雑なトレードオフが増加。
- 多くの意思決定に明確な正解はなく、戦略やデータだけでは導けない領域が増えている。
- そんな状況で「一貫性」と「信頼」を支えるのが、リーダー自身の価値観。
研究によると、コアバリューに基づくオーセンティック・リーダーシップは
✔ パフォーマンス向上
✔ 信頼構築
✔ 意思決定の質向上
につながる。
2. コアバリューは“単語”ではなく“行動の原理”
よくある「家族」「誠実」「正直」などの単語は抽象的すぎる。代わりに、価値観は行動指向の短いフレーズとして定義するべきとされる。
例:
- 「家族」 →「大切な人のために常にそこにいる」
- 「誠実」 →「誰に対しても同じ基準で向き合う」
このレベルまで具体化することで、あらゆる意思決定に適用できる軸になる。
3. コアバリューが生み出すリーダーシップの成果
■ 価値観に基づく意思決定が長期的成功を支える
例:Dick’s Sporting Goods
- 銃乱射事件後、CEOが「地域社会に貢献する」という個人的価値観から銃販売を制限。
- 短期的損失のリスク(最大2.5億ドル)を承知で実行。
- 株価は長期的に大幅上昇し、企業の信頼も向上。
■ 価値観は「決断の仕方(how)」にも現れる
例:Airbnb ブライアン・チェスキー
- コロナ禍で25%の人員削減を決定。
- 自身の価値観「共感・正直・透明性」に基づいて丁寧な公開書簡と支援策を準備。
- 社員との信頼を維持し、ブランドの評価を高めた。
価値観が明確だと、不人気だが必要な決断でも、組織の信頼を損なわない。
4. 自分のコアバリューを見つける6つの問い
以下の質問に答えることで自分の価値観の原型を発見できる。こうした問いから、行動として表現可能な価値観を導き出せる。:
- 仕事以外で没頭できる活動は?
- これまで最もうまく機能した役割・環境は?
- 人があなたに求めてくる助けの種類は?
- 自分の弔辞に何と言われたいか?
- 仕事や生活でやる気を失う瞬間は?
- 過去の不満・怒りの裏側に、何が大切だったのか?
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“Identify Your Core Values to Make Better Leadership Decisions,” HBR.org, September 19, 2025.