本稿は、リーダーへの「信頼」がパフォーマンス、顧客ロイヤルティ、収益性、イノベーションの基盤であるにもかかわらず、多くの企業がそれを感覚的・主観的なものとして扱い、経営指標として管理できていない現状を問題提起する。信頼は測定可能で、他の戦略変数と同様に可視化・モニタリング・行動・ベンチマークが可能な「経営資産」であると論じている。
信頼の測定は完璧さを証明するためではなく、リスクを管理し、継続的に改善するためのプロセスである。信頼を体系的に測定・管理することは、組織のレジリエンスを高め、不確実性の高い時代における持続的な価値創造の基盤となる。
著者は、リーダーシップへの信頼を効果的に強化するための4つの実践ステップを提示している。
- 測定ツールの決定
信頼は複雑だが測定不能ではない。LTI(リーダーシップ・トラスト指数)、ポール・ザックの組織信頼指数、コビーの「信頼のスピード」などの診断ツールを用い、オープンさ、誠実さ、謙虚さ、人を鼓舞する力といった具体的なリーダー行動を評価する。適切なツール選択により、信頼を行動に結びつくインサイトへと変換できる。 - モニタリング
信頼は静的なものではなく環境やリーダーの振る舞いによって変動する。収益や離職率と同様に、信頼を継続的に追跡することで、士気低下や有害な文化、評判リスクといった警告サインを早期に察知できる。取締役会レベルでの定期的なモニタリングが重要である。 - 積極的な管理
リーダーは自身の信頼性を過大評価しがちであり、客観的測定が不可欠である。信頼指標を人事評価、研修、コーチング、報酬制度に組み込み、信頼を高める行動を意図的に強化することで、エンゲージメントや生産性の向上が実証されている。 - ベンチマーク
信頼レベルを同業他社と比較することで、自社の立ち位置を把握し、競争優位の源泉として活用できる。期限内・予算内での成果達成、誠実さ、鼓舞するビジョンは信頼を高める一方、過度なトップダウンや誤った「脆さ」の示し方は信頼を損なうことが明らかにされている。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“If Trust Is So Important, Why Aren’t We Measuring It?” HBR.org, November 04, 2025.