賢いリーダーとは、「感じる人」ではなく、「状況に応じて感じ方と示し方を選べる人」である。
問題提起
現代のリーダーには、部下の感情に配慮する共感力が強く求められている。実際、感情面のサポートは従業員のパフォーマンス向上や離職率低下、組織業績の改善と関連している。
しかし一方で、「常に共感すればよい」という単純な考えは誤りである。適切でない共感は、
- リーダー自身の燃え尽き
- 部下との認識ギャップ
- 逆効果となるコミュニケーション
を招く可能性がある。
重要なのは、単に共感することではなく、「状況に応じて最適な共感の形を選ぶこと」である。これを筆者らは「賢い共感(Wise Empathy)」と呼ぶ。
共感には2種類ある
リーダーの共感には大きく2つの型がある。
① シェア型(感情を共有する)
相手の感情を自分も体験する。
② ケア型(思いやりを示す)
感情に巻き込まれすぎず、相手を支え、必要に応じて行動志向を取る。
研究からの重要な示唆
● ネガティブ感情には「ケア型」が有効
- シェア型はリーダーの消耗を招きやすい
- ケア型は燃え尽きを防ぎ、自己効力感を高める
- 部下のエンゲージメントと上司への信頼も向上する
● ポジティブ感情には「シェア型」が有効
- 喜び・誇り・成功を一緒に祝うことで関係性が強化される
- チームの士気が高まる
- ただし主役を奪わないことが重要
結論:共感の正解は一つではなく、状況によって使い分けることが鍵である。
賢い共感を実践する5つのステップ
1. 文脈を理解する
即反応せず、相手の感情の種類(ポジティブ/ネガティブ)と背景を読み取る。
言葉だけでなく、トーン・沈黙・エネルギー変化にも注意する。
2. 自分の反応をコントロールする
感情的に巻き込まれる前に一拍置く。
呼吸を整え、「これは相手の感情であり自分の感情ではない」と認識する。
3. ケアかシェアかを選択する
- ネガティブ → ケア型を優先
- ポジティブ → シェア型で共に喜ぶ
4. 相手の受け止め方を確認する
共感は「意図」ではなく「相手の認識」で決まる。
フィードバックを通じて認識ギャップを確認する。
5. 振り返りと調整を行う
会話後に内省する:
- 適切な共感を選べたか
- 相手は支えられたと感じたか
- 自分は消耗していないか
この反復が、判断力と持続可能なリーダーシップを育てる。
本質的メッセージ
- 共感は「量」ではなく「質と選択」が重要
- 善意だけでは不十分で、判断力と自己制御が必要
- 適切な共感は、信頼・エンゲージメント・定着率・業績を高める
- そして同時に、リーダー自身のウェルビーイングも守る
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“How Leaders Can Practice Wise Empathy,” HBR.org, January 14, 2026.