この論文は、現代の職場に蔓延する「行動モード(doing mode)」に偏りすぎた働き方に警鐘を鳴らし、「余白モード(spacious mode)」の重要性を提唱している。
行動モードは仕事を進めるために必要だが、それだけでは本質的な気づきや豊かな人間関係、創造性は生まれない。「立ち止まる勇気」と「余白モード」を日常に取り入れることが真の成果とウェルビーイングにつながる。
背景と問題意識
- 多くの職場は短期的で測定可能な目標に重きを置き、社員はタスクをこなすことに没頭している。
- 筆者の調査では、管理職の多くが「立ち止まって考える時間がない」「会議が駆け足」「集中できない」と感じている。
- このままでは、重要な課題を見逃し、人間関係が損なわれ、仕事への喜びも薄れてしまう。
「余白モード」の効用
- 「余白モード」は、視野が広がり、好奇心を持って物事に向き合い、人間関係に目を向ける余裕が生まれる状態。
- 行動モードでは気づけないような深い洞察や創造的な発想が得られる。
- 忙しさのなかで失われがちな「人生や仕事の彩り」を取り戻せる。
立ち止まれない理由と心理的ハードル
- 多くの人は、「忙しさ=価値」と無意識に結びつけており、休むことに罪悪感を抱いている。
- 立ち止まることで、自分の選択や方向性に疑問を持つことが怖い。
- 組織構造も行動モードを奨励するよう設計されており、立ち止まることはリスクと見なされがち。
余白モードを取り入れる戦術
- 自分に「立ち止まる許可」を与える
自らのマインドセットを見直し、余白モードの価値を信じることが第一歩。 - 身体感覚に意識を向ける
足元や呼吸などへの数秒の注意が、行動モードから抜け出すトリガーになる。 - マインドフルネスの実践
1日10分の継続的な実践が、反応と刺激の間に余白をつくり、より良い判断を可能にする。 - ゲリラ的余白(guerilla spaciousness)
周囲に気づかれずに少しずつ余白モードを日常に取り入れる工夫(例:会議の前に一呼吸置く、問いを立ててみるなど)。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“How to Give Yourself More Space to Think,” HBR.org, February 06, 2025.