HBR Article:人材採用・育成「従業員のストレスは人事ではなく、経営が取り組むべき課題である」

この論文は、従業員のストレスを「個人の問題」ではなく「ビジネスリスク」として扱う必要性を説き、それを測定・管理・軽減するための新たなフレームワーク「ストレス・リスク・サーモメーター」を提案している。

ストレス対策は「対応型」から「予防型」へ転換すべき。ストレスを定量的に測定し、経営課題として扱うことで、企業はレジリエンス(回復力)を高められる。レジリエンスはプログラムではなく組織文化や運営方法に組み込まれるべき能力であり、企業競争力の源泉となる。

1. 従業員ストレスは重大な経営課題

  • ストレスは 生産性の低下、離職、コンプライアンス違反を引き起こす。
  • にもかかわらず、多くの企業はストレスを人事任せにし戦略的に扱っていない。
  • 経営層も健康の重要性を認識しているが行動が伴っていないギャップがある。

2. ストレスがもたらす具体的コスト

  • 年間1,000人あたり530万ドルの損失(健康保険、離職、病欠など)。
  • 高ストレスの従業員は病欠日数8倍、離職率3.7倍、コンプライアンス違反11倍、保険請求2.5倍。
  • 離職や生産性低下による損失が大きい。

3. ストレス・リスク・サーモメーターの導入

  • ストレスレベルを3ゾーンに分類して定量化:
    • 低ストレスゾーン(14%):持続可能なパフォーマンス
    • 中ストレスゾーン(41%):リスク潜在、予兆段階
    • 高ストレスゾーン(45%):重大な経営・健康リスク
  • たった一つの質問(例:「ストレスをどのくらい感じるか?」)でも測定可能。

4. ストレスの原因を特定し、的を絞った介入を実施

  • 根本原因(仕事量、心理的安全性の欠如など)を特定し、対策へつなげる。
  • 成功事例では、座りすぎ対策、健康習慣促進、ストレス軽減プログラムなどを展開。
  • プログラムの成果を測定し、ROI(投資効果)も可視化された。

5. リスク管理の一環としてのストレス対策

  • ストレスは人事だけの問題ではなく、財務・リスク部門と連携すべき。
  • ISO 45003のような国際基準と連携し、構造的な組織改革の一環としてストレス対策を位置づける。
  • プライバシー保護と透明性も必須。

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