リーダーが組織に必要な変化を進めようとすると、しばしば強い抵抗や個人的な攻撃のように感じられる反発に直面する。しかし多くの場合、その反発はリーダー個人への否定ではなく、「変化によって自分の影響力や慣れ親しんだ環境を失うことへの恐れ」から生じる自然な心理反応である。リーダーはこれを個人的な問題として受け取らず、冷静かつ共感的に対応する必要がある。
反発は変革のプロセスにおける通過儀礼であり、リーダーが意味ある決断をしている証拠でもある。重要なのは、反発を恐れず、個人攻撃として受け止めず、共感と冷静なコミュニケーションによってチームを前進させること。困難な決断を貫く勇気と、感情を受け止めながら進める姿勢こそが、真のリーダーシップを形づくる。
主要ポイント
1. 反発は“恐れ”の表れと再解釈する
- 人々の抵抗は、変化によって失われるものへの喪失感から生じる。
- チェンジマネジメント研究者ウィリアム・ブリッジズの理論によれば、変化は「終わり」から始まり、人はまず“失う痛み”を経験する。
- したがって、反発を個人攻撃と捉えず、相手の感情を理解する視点が重要。
2. 謝罪ではなく共感を示す
- 方針自体を覆さずとも、相手の不安や困難に共感を示すことができる。
- 例:「この変更でご負担が増えることを理解しています。支援します。」
- 謝罪ではなく、相手の状況を認める姿勢が信頼を維持する。
3. 議論から“実行”への会話転換
- 反対意見の応酬に終始せず、「ではどう進めるか」という実務的ステップに話を進める。
- 例:「懸念は理解しました。次に進むために何が必要でしょうか?」
4. 交渉可能な範囲を明確化する
- 変更の“揺るがせない部分”と、“柔軟に対応できる部分”を明示する。
- これにより、メンバーは自分の影響力を発揮できる範囲を理解し、建設的に関与できる。
5. 賛同者の声を可視化する
- 静かに支持している人々の経験や成功事例を共有し、前向きな流れをつくる。
- チームの士気と信頼感を高め、変革の定着を後押しする。
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“How to Respond When a Big Decision Provokes Backlash,” HBR.org, August 19, 2025.