通常の変革マネジメント(小さな成果の積み重ね、連携構築、パイロット導入)は、安定期には有効だが、危機や市場激変のような混乱期には逆効果となる場合がある。しかし混乱期には、官僚主義が弱まり、旧来の抵抗が薄まり、新しい提案が通りやすくなる という “一時的な窓” が開くため、リーダー次第で変革を進めやすくなる。
研究では、成功したリーダーは「危機を利用して」変革を一気に進めていた。混乱期の変革リーダーの3原則は、機を見極め、アイデアを危機対応策として再設計する、躊躇せず素早く動く、短期対応 × 長期構想の両輪で、大きな絵を描く ことである。
混乱期に変革が進めやすい理由
心理学・組織行動研究によれば、大きな変化が起こると古い習慣が崩れ、新しい行動や仕組みを受け入れやすくなる。この現象は個人にも組織にも当てはまる。「危機」「前例のない状況」が全員に共有されると、抜本的な変革への合意が得やすくなる。
成功した変革リーダーがとった3つのアプローチ
1. 適切なチャンスを“選び”、混乱に合わせて“再構成”する
- “すぐ実施できる” かつ “以前から温めていた” アイデアを選ぶ
- そのアイデアを、目の前の危機に対処する策として再構成する
→ 例:鉄道博物館の館長が、屋根崩落を「大改革を正当化する機会」と捉え、大型観光施設化へ転換
成功のポイント:
- 準備されたアイデア(計画済み・実現可能)を使う
- 単なる要望ではなく、喫緊の課題の解決策として提示する
失敗例では、看護部門と調整していなかったため、せっかく確保したスペースを活用できず、チャンスを逃した。
2. 迅速に行動する
混乱期の“緩和された環境(規制・手続き)”は、長く続かない。
- 規制が緩い1〜1.5年の間に戦略を転換できた組織は成功
- 混乱に忙殺され「終わるのを待つ」姿勢をとった組織はチャンスを逃した
要点:
- スピードが最重要の資産
- 情勢の変化に気づき、即座に動くことが成果を左右する
3. 大胆な構想を描く
成功したリーダーは、単なる対症療法で終わらず、
長期的な大胆な変革構想を抱き、それに向けて短期施策を再構成していた。
- 危機対応だけでなく、未来の組織の姿を提示する
- 大胆であるほど、混乱期の“慣性の弱まり”を活用できる
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“How to Successfully Drive Change When Everything Is Uncertain,” HBR.org, August 20, 2025.