エグゼクティブコーチングはリーダーにとって非常に有益だが、予算・時間・組織文化などの制約により、最も必要な局面でアクセスできないという課題がある。特に複雑でリスクの高い状況では、リーダーが孤立し支援を求めづらいケースも多い。こうした現実を踏まえ、当論文は「セルフコーチング」という概念の重要性を強調している。
急速に変化するビジネス環境では、外部支援が間に合わない場面が増えている。その中でSOLVEフレームワークは、リーダーが自らの思考を整理し、冷静に意思決定し、慎重かつ自信を持って前進するための実践的な方法を提供する。
特に、以下において、強力なセルフコーチングの武器となる。
- 感情が揺らぎやすい局面
- 関係者が多く政治的な問題
- 答えが明確でない複雑な状況
なぜセルフコーチングが必要なのか
- リーダーはこれまで以上に複雑な課題と高い期待にさらされている。
- しかし支援体制(コーチングや上司のサポート)はそのスピードについてこない。
- 組織の事情(予算削減・承認の遅れ)や、リーダー自身の心理的要因(能力不足と思われたくない)により、必要なときに助けを求められない。
- その結果、重大局面を“独力で乗り切らざるを得ない”状況が発生する。
このギャップを埋める手段として、リーダー自身が状況を整理し、判断の質を高めるためのセルフコーチング能力が不可欠である。
SOLVEフレームワーク:複雑な問題に対処する5段階の方法
20年以上の研究と実践をもとに開発されたのが、この「SOLVE」である。
感情・政治性・複雑さが絡み合う現場の問題に適用できる、シンプルかつ強力な自律的思考のモデル。
S:State the Problem(問題を言語化する)
- 問題を“1~2文で”明確に定義する。
- 影響や結果まで含め、「問題はXで、それによりYが起きている」と表す。
- 解決策はまだ書かない。まずは核心の可視化に集中する。
O:Open the Box(箱を開ける)
- 起きていることを理解するため、必要なデータ・情報を洗い出す。
- 行動パターン、業績データ、関係者の反応などを分析し、問題の構造を深く把握する。
L:Look for Choices(選択肢を見出す)
- 取り得る複数の選択肢を洗い出す。
- 思考の幅を広げ、固定観念から距離を置く。
V:Validate Your Path(道を検証する)
- 選択肢のリスク・影響・整合性を吟味する。
- ステークホルダーとの関係や長期的な影響も考える。
E:Execute and Evaluate(実行し、評価する)
- 小さく実験し、結果を観察しながら調整する。
- 自律的な改善サイクルを回す。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“How to Coach Yourself Through Complex Problems,” HBR.org, September 30, 2025.