現代のマネジャーは、管理人数が増える一方で支援は減り、責任だけが増している。その結果、下記という“典型的な悪循環”に陥りがちである。
- ノーと言えない
- 仕事を抱え込みすぎる
- 受信トレイとカレンダーが飽和
- 本来のリーダー業に集中できない
本稿では、研究者やコーチング専門家5名の知見をもとに、組織全体を変えられなくても 「チーム単位で働き方を変える」ことで負荷を劇的に軽減する8つの対策 が示されている。
多忙なリーダーが陥る問題は、特別な能力不足ではなく、誰もが引き込まれる“構造的な罠”である。しかし、組織全体を変えることが難しくても、チーム単位で働き方を再設計することで、負荷の連鎖を断ち切り、マネジメントを再び機能させることができる。この8つの対策は、いずれも小さく始められ、効果が雪だるま式に広がるアプローチとなっている。
1. 個人対応をやめて“小グループ化”し、チームを自立させる
- 10名超のチームは3〜4名の小グループに再編成。
- 個別ミーティングではなく“グループでの対話”を基本にする。
- 問題解決や意思決定をグループに任せ、マネジャーの関与を減らす。
- 1on1は仕事ではなく“人へのケア”に特化し、四半期ごとに実施する。
2. 良いアイデアでもあえて「ノー」と言い、過負荷の連鎖を断つ
- 知識労働では未処理案件が“見えない”ために仕事が雪だるま化する。
- マネジャーは、アイデアの良し悪しに惑わされず優先順位を徹底。
- すべてのタスクを一箇所に集約し、チームにも「終わらせてから次へ」を習慣化させる。
3. 着手前の“事前ブリーフィング”で共通認識をそろえる
- 忙しいマネジャーほどすり合わせを省き、結果的に手戻りが増える。
- 軍隊の「ミッションリハーサル」のように、
- 役割
- ゴール
- 完了の定義
- 想定リスク
を開始前に確認する。
- 共通のメンタルモデルを持つことで、不測の事態にも強いチームになる。
4. ミーティングは“情報共有”ではなく“問題解決”の場にする
- 多くの現場では、会議で報告、メールで議論という逆転現象が起きている。
- 対面の強みは「複雑な問題を一気に片付けるスピード」。
- 問題解決を会議に集約することで、メール往復の無駄が激減する。
5. 会議数を見直し、“目的別の設計”に切り替える
- 会議は「意思決定」「問題解決」「確認作業」など目的別に分類。
- 目的が曖昧な会議、人数だけ多い会議を減らす。
- レビュー会議は頻度を下げ、代わりに短時間の進捗同期を取り入れる。
6. 権限委譲を強化し、マネジャーが“ボトルネック”にならない仕組みをつくる
- 忙しいマネジャーほど、判断を自分で抱え込む。
- 決裁基準や判断ルールを明確化し、チームが自走できる状態をつくる。
- 任せた仕事は途中で口を出しすぎず、「判断してよい範囲」を明確にする。
7. 仕事の“入口管理”を強化し、勝手に増えるタスクを防ぐ
- マネジャーの受信トレイに流れ込むあらゆる仕事を、
- 受ける/受けない
- 後回し
- 別チームに委譲
など、入口で整理する。
- チームも同じルールで仕事を受けるため、「いつの間にか増えていた」仕事が減る。
8. マネジャー自身の働き方を整え、“余白”を確保する
- 管理職が余裕ゼロの状態では、判断力もコミュニケーションも質が落ちる。
- カレンダーの“空き時間”をあえて確保し、計画・振り返り・思考の時間に使う。
- 休息や心身のリセットは、生産性だけでなく部下の安全基地としても重要。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“When Managing Your Team Becomes Too Much,” HBR.org, October 03, 2025.