優秀な候補者が選考途中で辞退したり内定を断ったりする背景には、候補者が組織の「危険信号(レッドフラッグ)」を察知しているという現実がある。問題は人材市場ではなく、採用プロセスと組織のあり方そのものに起因するケースが多い。
これを防ぐ鍵は、採用に関わる全員が Clarity(明確性)・Courtesy(礼儀正しさ)・Coherence(一貫性)という「3つのC」を徹底することにある。
候補者が警戒する4つの危険信号と対処法
① 明確性の欠如
主な問題
- ミッション・戦略・価値観・文化が説明できない
- 職務内容、期待役割、成功の定義が曖昧
- キャリアパスや報酬の将来像が見えない
- 面接官ごとに説明が食い違う(メッセージの不一致)
特に影響を受ける人材
- 良心的で達成意欲の高い、優秀な候補者ほど離脱しやすい
対処法
- ミッション・バリュー・文化を言語化し、全員で共有
- なぜその職務が存在するのかを明確にする
- 成功の定義・評価指標・期待成果を具体化
- 面接全体で一貫したメッセージを設計する
② 不適切な採用慣行
主な問題
- 採用プロセスが不透明・場当たり的
- 日程や意思決定の遅れ、説明不足
- 組織の実態を正直に伝えない
- 面接が一方通行で、敬意や関心が感じられない
- 差別的・不適切な質問
対処法
- 採用プロセスとタイムラインを明確化
- 面接官への研修(質問の適法性・守秘範囲など)
- 候補者の理解度を都度確認し、認識を揃える
- 候補者からプロセスへのフィードバックを得る
③ 不愉快・不満そうな従業員の存在
主な問題
- 面接官や従業員に覇気がなく、職場の雰囲気が悪い
- 従業員が会社を楽しんでいない様子が伝わる
- 職場内の関係性が冷えて見える
対処法
- 採用マネジャーの負担を軽減し、時間を確保する
- 候補者対応における礼儀・姿勢の基準を明示
- 士気低下を放置せず、早期に改善策を講じる
④ 高い離職率・悪い評判
主な問題
- 同じポジションが何度も募集されている
- 業績不振やネガティブな評判が広まっている
対処法
- 問題を否定せず、正直に説明する
- 課題認識と改善策を組織内で共有する
- 候補者個人の懸念を把握し、軽減策を話し合う
まとめ
候補者が感じ取る「危険信号」は、単なる採用上の問題ではなく組織のエンゲージメントやリーダーシップの課題を映し出す鏡である。しかし多くの場合、特別な施策よりも、「明確に・礼儀正しく・一貫して伝える」という基本を徹底するだけで、優秀な人材を逃すリスクは大きく下げられる。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“4 Organizational Red Flags That Turn Off Job Candidates,” HBR.org, October 06, 2025.