HBR Article:チームマネジメント「自分の仕事にしか関心がない「タコ壺化した職場」を変える方法」

1980年代後半、日本企業は職場内の濃密なコミュニケーションと一体感を武器に競争力を高めてきた。しかし1990年代以降、バブル崩壊や働き方の変化、コロナ禍による対面の減少などにより、コミュニケーションは希薄化し次第に個人が「自分の職務だけをこなせばよい」と考える「心理的タコ壺化」が進行している。

この状態では、チーム全体を意識した行動が減少し、視野が狭まり、組織全体の連携力や生産性が低下するリスクを伴う。

背景要因:成果主義と個人主義の浸透

バブル後、日本企業は成果主義を導入。これにより個人業績が重視されるようになったが、助け合いや後輩指導といった行動が評価されにくくなった。その結果、周囲との協力よりも自分の成果を優先する傾向が強まり心理的タコ壺化がさらに加速した。

実証研究:チーム・ダイアログの導入とその効果

研究では、電子機器メーカーA社の57チームのうち6チームに「チーム・ダイアログ」という取り組みを6カ月間導入。これは定例ミーティングや感謝のメッセージ交換、1on1などを通じて職場内の対話を促進するもの。

その結果、以下のような変化が確認された:

  • 心理的安全性:導入チームは向上、非導入チームは低下。
  • 組織革新指向性:導入チームは上昇、非導入チームは変化なし。
  • 顧客志向性・新課題への取り組み:両チームともに向上したが、導入チームの方が大きな伸び。

考察と示唆

  • 「チーム・ダイアログ」は、心理的安全性とチーム内信頼の向上を促進し組織全体の革新性を高める可能性がある。
  • 雑談やねぎらい、感謝の言葉といった日常的なやりとりの中に組織文化の活性化やモチベーション向上の鍵がある。
  • 組織内の関係性を見直し、制度・評価と人間関係のバランスを取り戻すことが心理的タコ壺化からの脱却に不可欠。

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