多くのリーダーは、自分に向けられた重要なフィードバックを見逃してしまう。表面的には些細に見える行動ややり取りの裏に、本質的な懸念や評価が隠されている場合があるが、当人はそれに気づかないことが多い。
リーダーにとって重要なのは、表面的なやりとりの背後にある「言葉にされないフィードバック」に気づき、それを機会と捉えて対話と信頼構築につなげることである。見えないサインを敏感に読み取り、対話を促進する力こそが優れたリーダーシップの鍵となる。
主なポイント
1. 隠れたフィードバックの実例
- CMOのマヤは、CEOから細かく繰り返される質問を「マイクロマネジメント」と捉えていたが、実はマヤの俊敏さに対する不信感の表れだった。
- 人事SVPのレオンは、同僚幹部たちが会議への関与を避け始めたことに気づくが、それが自分への暗黙の否定的評価だとは理解していなかった。
2. なぜフィードバックは明示されないのか
- 相手がはっきり言うことをためらう文化や心理的要因(反応への恐れなど)
- 自分では十分にフィードバックしていると思っている(繰り返しの指摘など)
- 実は重要なフィードバックであると、相手自身も明確に認識していない
3. フィードバックを見逃すとどうなるか
- リーダーは問題の本質や早期の警告サインに気づけず、手遅れになる
- 組織内外の信頼や成果に悪影響を及ぼす
隠れたフィードバックを見抜き、活かす方法(4つの実践)
1. 兆候を探す
- 繰り返される些細な質問や提案 → 実は能力や信頼への疑念
- 不自然な関与(意思決定への介入)→ 信頼の低下
- 急な消極性 → 関心や信頼の喪失
2. 本音を引き出しやすい雰囲気をつくる
- 「率直な意見を聞きたい」と明示する
- 自分の盲点を探すための質問をする
- 相談形式で意見を聞くことで、相手の防衛心を下げる
3. 気になるパターンに踏み込む
- 相手の行動パターンに触れて「何か懸念があるか?」と明確に尋ねる
4. 例:マヤとレオンの変化
- マヤはCEOの質問の意図を深掘りし、信頼関係を再構築しようとする
- レオンは他の幹部の行動に隠れた理由を想像し、対話を始める
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“How to Recognize “Hidden Feedback,” HBR.org, April 07, 2025.