仕事における感情労働は、時間管理や情報処理と並ぶ重大なストレス要因であるが、自己認識と働き方の工夫によってその負担を軽減し、仕事への満足度と持続可能性を高めることが可能である。
感情労働とは何か
- 感情労働とは、たとえ内心では異なる感情を抱いていても、仕事上ふさわしい感情を表出することが求められる行動を指す。
- 顧客対応や社内の上下関係でよく見られ、社会人の多くが日常的に行っている。
感情労働の種類
- 心からの行動:内面の価値観や信念と一致する感情表出。ストレスが少ない。
- 上辺だけの行動:内心とは異なる感情を装うこと。ストレスが大きく心理的負担や悪影響を招く。
感情労働の悪影響
- 偽りの感情表出を繰り返すことで、うつ病・不安障害のリスクが増加。
- 燃え尽き症候群やパフォーマンス低下につながる。
- 上司が上辺を取り繕うことで、部下に対して攻撃的な態度を取ることも。
- 家庭にも影響し、パートナーとの関係悪化の原因となるケースも。
感情労働が重くなる要因
- 職務と自分の性格が合っていない。
- 組織文化と個人の価値観が一致しない。
- 特定の感情表現が職場で推奨または禁止されている。
感情労働のストレスを減らす方法
1. 仕事の意味を再確認する
- 自分の仕事がどんな目的とつながっているかを考える。
- 例:「安定した仕事を続けるのは子育てのため」「今はスキルを学んでいる段階」など。
2. 「やりたい」部分を見つける
- 義務感だけでなく、自発的に楽しめる業務に注目する。
- 仕事を「やらされるもの」から「自分が選んだもの」に変える意識。
3. ジョブクラフティングを試す
- 自分の興味や価値観に合うように業務内容や進め方を工夫する。
- 上司と相談して新しいプロジェクトや働き方を提案する。
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HBR.org 2016年9月8日より、DHBR 2025年7月号より。Managing the Hidden Stress of Emotional Labor