リーダーの感情的な関わりは、受け手に強力なインパクトを与える。感情を「何を伝えるか」だけでなく、「いつ伝えるか」まで意識することが成果と信頼を引き出すリーダーシップに直結する。
ポジティブな感情表現は、部下の成果を高めるが「タイミング」が極めて重要である。特にプロジェクトやシーズンの初期に好意的なフィードバックを行うと、部下は「尊重されている」と感じモチベーションと成果が向上する。
実証研究の内容と結果
研究1:大手コンサルティング会社の事例
- 対象: コンサルタント9,968人の25万件のフィードバックを分析。
- 発見:
- 初期(プロジェクト開始時)のポジティブなコメントは、中期や後期のそれよりも圧倒的に成果向上に寄与。
- パフォーマンス評価、昇給、ボーナスにも影響。
- 逆に、ネガティブなフィードバックの頻度が高い上司の部下は成果が下がる傾向。
研究2:大学スポーツチームの事例
- 対象: NCAAの学生アスリート245人とコーチ86人(1シーズン追跡)。
- 発見:
- プレシーズン中にポジティブな感情を示された選手は、シーズンを通じて高い成果を出した。
- 初期にリスペクトを受けたと感じたことで、モチベーションを維持・向上。
- 中期にやや厳しめのフィードバックを受けた選手は、「信頼を取り戻したい」という意識からより努力する傾向。
リーダーへの実践的アドバイス
- 開始初期にポジティブな感情を示す
- 部下を尊重し、期待していることを明確に伝える。
- 初動のモチベーションに火をつけるタイミングを逃さない。
- 中期に建設的なネガティブフィードバックを
- 改善点を丁寧に指摘する「愛のムチ」が有効。
- ネガティブすぎず、正当性のある指摘が前提。
- 部下の成長意欲を刺激し、成果をさらに引き出せる。
注意点
- 効果が顕著なのは長期プロジェクトやシーズンであり、短期の場面ではタイミング効果は限定的。
- それでも、感謝や励ましのタイミングは常に意識すべき要素。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。