HBR Article:リーダーシップ「成果を出すリーダーに学ぶ、効果的に「ノー」と言う力」

変化と過剰な期待が常態化した現代のビジネス環境において、リーダーはすべてに「イエス」と応えるのではなく優先順位を明確にし必要なときには戦略的に「ノー」と言う能力(戦略的拒否)を備える必要がある。本稿ではその考え方と実践的なアプローチを4つの柱に分けて解説している。

すべてに「イエス」と言うことは、責任感の証ではなくリーダーシップの崩壊の兆候である。戦略的に「ノー」を言えるかどうかが成果を出し続けるリーダーとそうでないリーダーを分ける決定的な要因である。

なぜ「戦略的拒否」が必要なのか:

  • リーダーは今、売上目標、業務変革、人員再編、システム導入など、過剰な課題を同時に抱えている。
  • 「イエス」と言い続けることで生まれるのは、燃え尽き、エンゲージメント低下、実行力の喪失(=変化疲れ)。
  • 真のリーダーシップとは、何をやらないかを決める勇気と判断力にある。

実践アプローチ①:戦略的拒否マトリックス

優先順位を見極め、どの要求にどう対応すべきかを分類するためのフレームワーク:

戦略的重要性実行可能性行動
低い低い拒否し、正当性を説明
高い低い再交渉(支援・リソースを要請)
低い高い優先順位を下げる
高い高いコミットして集中する

実践アプローチ②:拒否を伝える技術(フレームワーク)

効果的に異議を唱えるための4つのステップ:

  1. 「ノー」の言い方を変える
     → 単なる否定でなく「何に集中すべきか」という選択肢に変換。
  2. 「イエス」のコストを見える化する
     → リソース制約やトレードオフを具体的に伝え、実現可能性を共に検討。
  3. 戦略的拒否を組織文化にする
     → プレモーテム(事前検証)、キル条件(中止基準)、レッドチームレビューなどを通じて、拒否を個人ではなく組織的なプロセスに。
  4. リーダー自らが拒否をモデル化する
     → 拒否をリーダー自身が実行することでチームにも優先順位づけの文化を浸透させる。

重要なポイント:

  • 拒否=ネガティブではない。むしろ健全な優先順位判断とリスクマネジメントの現れ。
  • 感情ではなくデータで伝えることが信頼されるリーダーの条件。
  • 「最も多くを引き受けるリーダー」ではなく「最も適切に選択できるリーダー」が組織に持続可能な成果をもたらす。

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