多くのリーダーは、昇進を支えた専門知識や問題解決力に依存し続けている。しかし、役職が上がるほど重要になるのは、共感、傾聴、対話、信頼関係の構築といった「パワースキル」である。
技術的な専門性だけに頼るリーダーは、問題を自ら解決しようとする。その結果、部下が考え、学び、成長する機会を奪ってしまう。率直な意見も出にくくなり、沈黙が賛同と誤解され、心理的安全性やイノベーションが失われていく。
一方、パワースキルを備えたリーダーは、従業員の声を引き出し、異なる意見を尊重し、組織に信頼と当事者意識を生み出す。パワースキルは性格ではなく、日々の行動を通じて習得できる能力である。
1.現場の声を直接聞く
リーダーは、報告書や管理職を通じた情報だけでなく、現場の従業員と直接対話する必要がある。
少人数の対話や一対一の面談を通じて、問題を解決するためではなく、現状を理解するために話を聞くことが重要である。複数の声に共通するパターンを捉えることで、組織の中で見過ごされている課題が明らかになる。
2.現場の仕事を体験する
話を聞くだけでは、現場が抱える本当の負担や制約を十分に理解できない。従業員の仕事に同行し、会議や顧客対応に参加し、業務が行われる様子を直接観察することが有効である。
現場を体験することで、使いにくいシステム、非効率な手続き、従業員が独自に編み出した対処法などを把握できる。アンケートや報告では見えない問題を理解することが、よりよい意思決定につながる。
3.自分とは異なる人から学ぶ
リーダーは、若手社員や異なる文化、世代、立場を持つ従業員から学ぶ機会を意図的につくる必要がある。
リバースメンタリングでは、リーダー自身が教わる側になる。自分にはない経験や視点に触れることで、固定観念や無意識の思い込みに気づき、組織をより多面的に理解できるようになる。
人間性がリーダーの成果を左右する
専門知識や実務能力は昇進につながる。しかし、昇進後も成果を出し続けるために必要なのは、人を理解し、信頼を築き、組織の力を引き出す能力である。
リーダーは、自ら答えを出すだけの存在ではない。現場の声に耳を傾け、異なる視点から学び、人々が力を発揮できる環境をつくる存在である。パワースキルは、そのために欠かせないリーダーシップの中核である。
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