リーダーシップスタイルの固定化は信頼や成果の障害となりうる。時代や環境、チームのニーズに応じて柔軟にスタイルを適応させることがリーダーの信頼維持と成長には不可欠である。適応力は「一貫性の放棄」ではなく「目的に応じた柔軟性」の表れであり、それによってフォロワーシップを維持・強化できる。
背景と課題認識
上級職になると、自然に選ぶ「自分らしい」リーダーシップスタイルが定着し、それがブランド化される。しかし、環境の変化などにより、そのスタイルが突然通用しなくなることがある。そのとき、スタイルを変えずに固執すれば信頼を失い、無理に変えると不自然になって部下を混乱させる。
解決のための5つの戦略
1. 環境変化の兆候を見極める
- ビジネス、ステークホルダー、自分自身の3領域での変化を精査する。
- 成果の低下や信頼喪失の兆候に気づいたら、外的・内的な要因を棚卸しする。
2. スタイルの使いすぎを自覚し、新しいスタイルに挑戦する
- ゴールマンの6つのスタイル(強制型、ビジョン型、ペースセッター型、関係重視型、民主型、コーチ型)を参考に、偏りを見つけて幅を広げる。
- 好みのスタイルに固執せず、状況に応じて選び直す柔軟性が必要。
3. スタイル変更の意図をチームに共有する
- なぜスタイルを変えるのか、チームに前もって説明し、信頼を維持する。
- 変化の「背景」や「目的」を明確に伝え、変化が突発的でなく、意図的であることを示す。
4. 試行しながらフィードバックを得て、反発を受け止める
- 小さな実践から始め、周囲の反応を観察・収集する。
- スタイル変更に対する反発は自然な現象。否定的な反応も受け入れ、進化に役立てる。
5. 完璧を目指すより、多様性を養う
- すべてのスタイルを完璧にこなす必要はないが、目的に応じて使い分ける柔軟性を育む。
- 「自分らしさ」に固執するのではなく、目的に基づいて最適なスタイルを選ぶ。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“When Your Go-To Leadership Style Stops Working,” HBR.org, May 30, 2025.