AIへの投資(ツール・インフラ)だけでは価値は生まれない。リーダーが新たな5つの能力を身につけ、組織・仕事・人を再設計できたとき、AIは初めて戦略的優位となる。生成AI時代の競争力は、技術ではなく人間のリーダーシップの進化によって決まる。
1. 問題提起:AIが称賛されても価値創出が進まない理由
- 多くの企業がAIを「重要」と位置づけている一方、具体的な利益創出の説明はできていない。
- 年次報告書では、メリットよりもリスクの説明の方が明確であり、AI活用は戦略段階に留まっている。
- 失敗の原因は技術不足ではなく、従業員の不安、働き方・プロセスの未変革、自社の提供価値との不整合にある。
- これまで成功してきたリーダーシップ(管理・監督・効率重視)は、生成AI時代には通用しない。
2. 中核メッセージ
- 新技術から価値を引き出せない原因は、ほぼ例外なくリーダーシップと組織能力の問題。
- AIは既存プロセスに「後づけ」しても成果を生まない。
- 組織・仕事・意思決定の再設計を伴って初めて、AIは戦略的優位となる。
- 生成AI時代に必要なリーダー能力は、過去の延長線上にはない。
生成AI時代のリーダーに不可欠な5つの能力
① 組織の境界を越えて橋渡しをする(バウンダリースパナー)
- AI理解は知識ではなく、多様なネットワークとの実践的接触によって深まる。
- 技術の普及は「信頼できる仲間が使っている姿」と「自分事化できる暗黙知」によって進む。
- 業界・規制・スタートアップ・技術者を横断する関係構築が不可欠。
- リーダー自身だけでなく、チームも分野横断的な交流に意図的に晒すことが重要。
② 組織と仕事を再設計する(設計者としての役割)
- AIの価値は技術そのものではなく、プロセス、インセンティブ、組織構造 の補完的変革から生まれる。
- 「どこを自動化し、どこを人間が担うか」を戦略的に設計する必要がある。
- FTE削減やコスト効率に固執すると、真の価値(再設計・新ビジネス・ハイパーパーソナライズ)を逃す。
- 組織再設計は文化変革と不可分。古い会議・管理プロセスはAIの価値を阻害する。
③ 人間とAIの協働をオーケストレートする
- AIは単なる分析ツールではなく、意思決定チームの一員として扱うべき。
- AIに役割(分析者、推奨者、悪魔の代弁者など)を与えることで、意思決定の質が向上する。
- 重要なのは、
- 人間とAIの助言バランス
- 心理的安全性
- 試行錯誤と学習を許容する場づくり
- リーダーは指揮官ではなく、協働を統合するオーケストレーターになる必要がある。
④ 人材のコーチングと能力開発を行う
- AI導入の成否は、従業員が新しい働き方を学べるかどうかにかかっている。
- 市場ではすでに、管理・監督型スキルは減少し、協働・コーチング・影響力スキルは急増している。
- 「検査文化」から「コーチング文化」への転換が不可欠。
- リーダーの役割は、取り締まる管理者 →学習と変化を支える教師・コーチへと変わる。
⑤ みずからAI活用の模範を示す(ロールモデル)
- 幹部はAIに前向きだが、実際には十分使っていないケースが多い。
- 真の推進力は「言葉」ではなく「行動」。
- 仕事・私生活の両方でAIを使い、実践知を蓄積、粗悪なアウトプット(workslop)を見抜く力を養う
- リーダー自身が試行錯誤する姿を見せることで、好奇心、失敗許容、社会的証明 が組織内に広がり、導入が加速する。
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“5 Critical Skills Leaders Need in the Age of AI,” HBR.org, October 07, 2025.