部門の壁を越えて全社一体で価値を提供する「ワン・カンパニー型」運営は、高業績と組織の健全性を高めるが、サイロ化が大きな障害となる。この課題を解消する有効な手段が、他部門の業務を実際に観察する「従業員シャドーイング」であり、共感・理解・協働を促進して組織変革を加速させる。
1. ワン・カンパニー型の意義と課題
- 全社一体で戦略・構造・業務を統合する企業は、高業績組織に入る確率が2.3倍高い。
- 統合された顧客体験の提供や変革時の不確実性対応に有効。
- しかし実際には部門間のサイロ化や従来思考により、統合的なソリューション提供が難しい。
- 真のコラボレーションには「体験による理解」が不可欠。
2. 解決策:従業員シャドーイング
他部門の従業員の業務に同行し観察することで
- 傾聴不足
- 共感不足
- フィードバック回避
という協働の障壁を克服できる。
ノルウェーの銀行DNBでは、デジタル変革の推進にあたり「ワンDNB」を掲げ、シャドーイングを導入し部門間理解を強化した。
3. シャドーイング導入の6ステップ
- 参加者の選定
共通目的を持つ異部門メンバーでペアを構成 - 準備と合意形成
学びたい課題・守秘義務・成功定義を共有 - サイレント・シャドーイング
半日程度、会議や業務を黙って観察 - ジャーナリング
観察内容を記録し戦略と結びつけて整理 - ペアでのデブリーフィング
学び・気づき・フィードバックを共有 - グループコーチング
複数ペアで洞察を共有し組織へ展開
4. 導入効果
- サイロ思考の解消と相互理解の深化
- 顧客体験のエンドツーエンド改善
- 組織内外の状況認識の向上
- 多角的視点による問題解決の強化
- 心理的安全性・共感・傾聴力の向上
DNBでは導入後、参加者の約3分の2が業務プロセス改善に着手し、顧客体験向上に貢献した。
結論
従業員シャドーイングは、部門間の理解と共感を生み出し、コラボレーションを促進することで「ワン・カンパニー型」経営を実現する実践的手法である。適切に設計し大規模展開すれば、戦略実行力と組織文化の変革を同時に推進する強力なツールとなる。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“To Execute a Unified Strategy, Leaders Need to Shadow Each Other,” HBR.org, January 08, 2026.