リチャード・フロリダは、現代社会における「都市」の重要性を改めて強調し、「どこに住むか」という地理的選択がイノベーション、経済成長、さらには個人の幸福にまで深く関わることをデータと理論に基づいて明快に示している。
主張の骨子
- 「世界はフラットになった」という通説への反論:
トーマス・フリードマンらによる「どこに住んでもグローバル経済に参加できる」という考えに対し、フロリダは「世界はフラットではなくスパイキー(凹凸がある)」と主張。 - スパイキーな世界とは何か:
経済活動やイノベーションは地理的に偏在しており、世界の富や創造力は特定の「メガ地域(Mega-Regions)」に集中している。これがスパイキーな構造である。 - 日本の位置づけ:
日本はこのスパイキーな世界の頂点にあり、世界でも有数のメガ地域を複数持つ国。特に、広域東京圏(約2.5兆ドル)/ 大阪=名古屋圏(約1.4兆ドル)は世界のトップ5に入る。また、九州北部や広域札幌圏もメガ地域として注目されている。 - スーパー・メガ地域へ:
日本国内の複数のメガ地域は連結しつつあり、一体化した「スーパー・メガ地域」として世界でも突出した存在になりつつある。
メッセージと意義
- 都市は無意味になっていない:
テクノロジーが進んでも、都市は依然として経済活動と創造性の中心であり居住地の選択は人生に長期的・重大な影響を与える。 - ビジネス戦略における新しい地図:
本書を通じて、日本企業は投資や施設建設、市場選定のための新たな「地理的戦略地図」を得ることができる。 - 個人にも通じる指針:
仕事や人間関係の選択と並び、「どこに住むか」は幸福やキャリアを左右する決定的な要素であると述べている。
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