この研究は、「助けること」が職場で自然に起こるものではなく、意図的な設計とスキル育成が必要であることを示している。助け合いはスキルであり、感情だけでは成立しない。有効な助けを行うには、明確な対話、実行責任、フィードバックと感謝の文化が不可欠である。リーダーはこのプロセス全体を設計し、文化として育む役割を担うべきである。
背景と問題提起
- 助け合いの文化は、職場での創造性や学習や関係性の向上に貢献するが、実際には多くの「助け」が役に立っていない。
- デザインコンサル企業「グロー・デザイン」での実証研究では、助けの25%が「役に立たなかった」と評価されていた。
- 「役に立たない助け」は善意で行われても、信頼や仕事の進捗、士気を損なう可能性がある。
「役に立たない助け」が生まれる3つの原因
- 曖昧な要請と不明瞭な理解
助けを求める側が「漠然とした依頼」(例:「ちょっと意見が欲しい」)をすることで助ける側が誤解しやすい。 - 楽観的な期待と実行責任の欠如
助けると約束したが実行されないケースが多発。助けを信頼して他の手段を探さないと問題が悪化する。 - 感情的影響
助けられなかった側は「裏切られた」と感じ自尊心や帰属意識が傷つく。助けた側も自分の貢献が認識されないことで意欲が下がる。
助けを「役に立つもの」にする3つの方法
- 問題を明確にする
- リーダーは部下に「どこに障害があるか」を対話で明確化させ、助けを求めやすい環境を整える。
- 問題の特定と可視化は、それ自体が業務上の前進と評価されるべき。
- 「ていねいさ」の落とし穴を避ける
- へりくだった曖昧な依頼は逆効果。
- 明確かつ具体的な依頼が「無礼」ではなく「協働の基本」として根づくよう、心理的安全性のある文化を築く必要がある。
- 情報共有と感謝の表明
- 助けた人には「どんな影響を与えたか」を知らせることで、相互理解と信頼関係が深まる。
- 最終成果物を共有し、具体的な貢献を伝えることが重要。
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“Research: When Help Isn’t Helpful,” HBR.org, June 10, 2025.