HBR Article:組織文化/組織開発「全社一体型の組織運営を成功に導く「従業員シャドーイング」の成果」

 部門の壁を越えて全社一体で価値を提供する「ワン・カンパニー型」運営は、高業績と組織の健全性を高めるが、サイロ化が大きな障害となる。この課題を解消する有効な手段が、他部門の業務を実際に観察する「従業員シャドーイング」であり、共感・理解・協働を促進して組織変革を加速させる。


1. ワン・カンパニー型の意義と課題

  • 全社一体で戦略・構造・業務を統合する企業は、高業績組織に入る確率が2.3倍高い。
  • 統合された顧客体験の提供や変革時の不確実性対応に有効。
  • しかし実際には部門間のサイロ化や従来思考により、統合的なソリューション提供が難しい。
  • 真のコラボレーションには「体験による理解」が不可欠。

2. 解決策:従業員シャドーイング

他部門の従業員の業務に同行し観察することで

  • 傾聴不足
  • 共感不足
  • フィードバック回避
    という協働の障壁を克服できる。

ノルウェーの銀行DNBでは、デジタル変革の推進にあたり「ワンDNB」を掲げ、シャドーイングを導入し部門間理解を強化した。


3. シャドーイング導入の6ステップ

  1. 参加者の選定
    共通目的を持つ異部門メンバーでペアを構成
  2. 準備と合意形成
    学びたい課題・守秘義務・成功定義を共有
  3. サイレント・シャドーイング
    半日程度、会議や業務を黙って観察
  4. ジャーナリング
    観察内容を記録し戦略と結びつけて整理
  5. ペアでのデブリーフィング
    学び・気づき・フィードバックを共有
  6. グループコーチング
    複数ペアで洞察を共有し組織へ展開

4. 導入効果

  • サイロ思考の解消と相互理解の深化
  • 顧客体験のエンドツーエンド改善
  • 組織内外の状況認識の向上
  • 多角的視点による問題解決の強化
  • 心理的安全性・共感・傾聴力の向上

DNBでは導入後、参加者の約3分の2が業務プロセス改善に着手し、顧客体験向上に貢献した。


結論

従業員シャドーイングは、部門間の理解と共感を生み出し、コラボレーションを促進することで「ワン・カンパニー型」経営を実現する実践的手法である。適切に設計し大規模展開すれば、戦略実行力と組織文化の変革を同時に推進する強力なツールとなる。

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